まず、実は少し問題含みであるけれど、多くのテキストに載っていて、 見通しのよい議論を紹介する。
以上の議論は分かりやすいが、いくつか問題がある。
まず分母0の問題を片付けよう。次の定理が成り立つ。
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発見的考察、というのをやろう。 を (形式的に) (C.17) に代入すると
同様に から , という解を発見できる (「捕食者がいなければ被食者は限りなく増え続ける」ということである)。 「 軸の正の部分は解軌道である」ということが分かった。
最後に、原点は平衡点であるから、原点1点からなる集合は解軌道である。
以下、, である解だけを考えることにすると、 , . ゆえに , である。 微分方程式から
(5.6) |
(5.7) |
定数 | (5.8) |
関数 は、第1象限ではつねに正の値を取り のとき最大値を取る。 を 軸や 軸上の点に近づけると、 .
を満たす任意の に対して、
(もちろん図を描けば「明らか」である。証明できた人はレポートしよう。)
(5.9) が解軌道を表す方程式である。 後で、 は周期関数で、 方程式の定める閉曲線の周りをぐるぐる回る (ゆえに解軌道は閉曲線に一致する) ことが分かるが、 現時点では解が存在する任意の時刻 で、 がその曲線の上にあることだけが分かっている。
(ヒント: 色々なやり方があると思われるが、一つの方針を示す。 背理法を用いる。 解がある有限の に対して、 まで存在するが、 を超えては延ばせないと仮定する。 得られた解軌道の方程式から、任意の解軌道は有界であることが分かる。 それから、任意の解軌道の上で が有界であると分かる。 それから極限 が存在することが導かれる。 そうすると解は まで延長され、 さらに を超えて延長できることが導かれる。 これは背理法の仮定に矛盾する。ゆえに で解が存在する。 -- 桂田 [22] §8.3 に少し書いておいた。)
桂田 祐史