微分方程式
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(C.11) |
の特性方程式は
で、
特性根は
( は虚数単位) である。
そこで定理 C.8 を機械的に適用すると、
一般解は
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(C.12) |
となるが、, は一体何であろうか?
実は指数関数 は、複素変数に一般化され、
その一般化された指数関数に対しても
などの性質は保たれるので、
(C.18) は
確かに微分方程式 (C.17) の解を与えるのである。
要約: 複素変数の指数関数 |
指数関数は複素変数まで拡張できる。
その定義には色々な方法があるが、どれを採用しても結果は一致する。
ここでは (, は実数, は虚数単位) に対して
と定義する。
- 実変数に関する指数関数の拡張になっている。
- 指数法則
が成立する。
- 特に Euler の公式
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(C.13) |
が成り立つ。
とすると
より有名な
が得られる。
(C.20) で
の代りに とした
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(C.14) |
と (C.20) を連立方程式とみて、
を得る。
- が複素数であっても
- 任意の複素数 に対して
が成立する。
-
.
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, が実定数の場合、
が虚根を持てば、
それは互いに複素共役である。ゆえに
と書ける。
,
とおくと、
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(C.15) |
また , は任意定数であることから、
, も任意定数である21。
, を実数の範囲のみで動かせば、
(C.21) は任意の実数値関数の解を表す。
補足
特性根が虚数である場合を定理の形にまとめておかなかったが、
そうしておくべきであった。
この文書では (元々の対象者が大学1年生であることから)、
証明はなるべく初等的にする方針で説明しているが、
ここではまず線形空間の議論に慣れている人向けの証明をして、
それから初等的な(だがやや面倒な)証明を示すことにする。
階線形同次微分方程式に対し、
が一般解であるとは、線形代数の言葉を用いると、
, ,
が
微分方程式の解空間 (解全体の集合のなす線形空間)
の基底であることである。言い換えると
解全体の集合
が成り立ち、, , が1次独立であることである。
Subsections
桂田 祐史