C..2.5.1 証明 (線形空間の議論に慣れている人向け)

$ a+ib$$ a-ib$ は相異なる特性根であるから

$\displaystyle y=A e^{(a+ib)x}+Be^{(a-ib)x}$   ($ A$, $ B$ は任意定数)

は (C.11) の一般解である (命題C.8 による)。これは

   (C.11)の解空間$\displaystyle =\mathrm{Span}\left\{e^{(a+ib)x},e^{(a-ib)x}\right\}
$

であり、 $ e^{(a+ib)x}$, $ e^{(a-ib)x}$ が1次独立であることを意味する。

一方

$\displaystyle A e^{(a+ib)x}+Be^{(a-ib)x}
=(A+B)e^{ax}\cos(bx)+i(A-B)e^{ax}\sin(bx)
$

であるから

$\displaystyle \mathrm{Span}\left\{e^{(a+ib)x},e^{(a-ib)x}\right\}
\subset
\mathrm{Span}\left\{e^{a x}\cos(bx),e^{ax}\sin(bx)\right\}.
$

上に述べたことから左辺は2次元であり、右辺は2次元以下であるので、 実は左辺と右辺は等しく、右辺は2次元すなわち $ e^{ax}\cos (bx)$, $ e^{ax}\sin (bx)$ は1次独立である。

   (C.11)の解空間$\displaystyle =\mathop{\mathrm{Span}}\nolimits \left\{e^{a x}\cos(bx),e^{ax}\sin(bx)\right\}
$

であるので、

$\displaystyle y=Ae^{ax}\cos(bx)+Be^{ax}\sin(bx)$   ($ A$, $ B$ は任意定数)

は(C.11)の一般解である。 (証明終)



桂田 祐史