(F.5) の解空間の次元は
であることを証明することが
大事な目標であるが、
まず1次独立性(線形独立性)の定義を想い出そう。
線形空間
の要素
,
,
が1次独立であるとは
![$\displaystyle (\forall c_1,\cdots,c_n\in\mathbb{R})\quad \left[ c_1\varphi_1+\cdots+c_n \varphi_n=0\THEN c_1=\cdots=c_n=0 \right]$](img866.png) |
(F.6) |
が成り立つことをいう。
,
,
が
線形同次微分方程式
(
) の解である場合は、
は
 |
(F.7) |
を意味する。このことは容易に理解できるが、
この条件
(無限個の
について等式が成り立つ)を確認するのは、
一見してそれほど簡単でないように思われるかもしれない。
実は、
この後紹介する定理 F.3 によると、
線形同次微分方程式
の
個の解
,
,
に対しては、
任意に選んだ1つの
に対して
が成り立つことを確認すれば良い。
証明.
(
F.9) を証明しよう。
行列

の第

成分を

と表すことにする
(

番目の解であるベクトル値関数

の第

成分である
--

(

)
が成り立つことに注意する)。
(
F.9) を解けば
(
G.3) が得られる。
この定理から
について、
- (a)
- 任意の
に対して
であるか
- (b)
- 任意の
に対して
であるか
どちらか一方のみが成り立つが成り立つことが分かる。
ゆえに、ある
に対して、
,
,
が
の1次独立なベクトルならば、
(a) が成り立たないので、(b) が成り立つ。すなわち任意の
に対して
これは
,
,
が
の1次独立なベクトルであることを意味する。
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桂田 祐史