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E. Fehlberg (1970) は次の公式 RKF45 を提案した5.4。
(5.4) |
|
ただし
これは 段 次の公式であるが、それだけでなく
(5.5) |
|
という値を作ると、 は に対して 次の近似
値となる。この次数の差を利用してステップ幅の自動調節をしよう、というア
イディア。
いま (5.4), (5.5) の局所離散化誤差
をそれぞれ , とおくと
である。あらかじめ許容誤差限界
を決めておき、第
ステップでは
が成り立ったとする。これは (5.6) より高次項を無視して
が成り立つことを意味する。そのとき、次のステップにおけるステップ幅
は、やはり
となるように選ぶべきであろう。ステップ幅が小さいときにはもっともである
と思われる
を仮定して
ところで近似的に
とみなせるから、これを代入して
すなわち
(5.7) |
|
すなわち第 ステップでは、(5.7) で定められ
る
ステップ幅 で公式を適用すれば、
も
の限界内にあるであろう、
と考える。実際には安全率を見込んで
(5.8) |
|
とする。ここで は より小さい正数で普通 とす
る。こうして、次のアルゴリズムが得られる。
許容限界
を定めて、
(5.4), (5.5) により
, を求めよ。
次のステップ幅を(5.8) で求めて、計算を続行せよ。
このアイディアのキーは、 段 次公式に、 の値を計算することな
く 次公式を付随させるところにある。このような Runge-Kutta 型
公式を、 次公式が 次公式に埋め込まれているといい、埋め込み
型 Runge-Kutta 法と呼ぶ。
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Masashi Katsurada
平成17年6月2日