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前節に解説したタイプの公式のうち、
 の場合、すなわち 
 段法を 
Runge-Kutta 型公式という。いくつかの 
 について、右辺
の 
 を計算し、それらの重みつき平均によって、適当な次数の(=その
次数までの真の解の Taylor 展開と一致するような)公式を作っている。具体
的には Runge-Kutta 型公式の一般形は
の形に書くことが出来る。ここで 
 を段数(number of
stages) と呼ぶ。段数とは、要するに 
 ステップ先に進めるために必要な 
 の計算回数である5.3。
段数 
 と係数 
, 
, 
 を選ぶとスキームが定まることになる。
それら係数を並べた
のような表を Stetter's notation と呼ぶ。
公式が前進型 (陽的、explicit)であるとは 
 (
) が成り立つこと。そうでない場合を陰的
(implicit) であるという。陰的な場合でも 
 (
) が成り立つ場合は半陰的(semi-implicit)であ
るという。
Runge-Kutta 型公式の特徴として、
- 自己出発的(self-starting)である。すなわち、多段法(
) で計算の最初に必要な 
, 
, 
, 
 を準備する
ことなく、計算が開始できる。
 
- 計算の途中で刻み幅(stepsize) 
 の変更が簡単である(
adaptive stepsize control に便利)。
 
- 次数を大きくしようとすると、
 の値の計算回数が増える。 
  次数 
 を与えたとき、explicit で少なくとも何 stage 必要か?
陽的 Runge-Kutta 型公式の場合には、以下のようになる:
ここで 
 のとき 
 となることに注意しよう (この事実が 4次の 
Runge-Kutta 法が人気のある理由の一つである)。なお、
 段の公式で実現
できる最高の次数を到達可能次数と呼ぶ。上の表から陽的 
Runge-Kutta 型公式の到達可能次数が分かる。なお陰的 Runge-Kutta 型公式
では、
 段で 
 次を到達する公式が存在することが分かっている。
 
 
 
 
 
  
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Masashi Katsurada 
平成17年6月2日