F..3 解の存在と一意性

任意の初期値 $ \bm{\xi} $に対して、 初期値問題 (F.1), (F.2) の一意的な解 $ \bm{x}
\in C^{1}(I)$ が存在する。実際

$\displaystyle \bm{F}(t,\bm{x}):=A(t)\bm{x}+\bm{f}(t)$   ($ t\in I$, $ \bm{x}\in\mathbb{R}^n$)

とするとき、$ I$ に含まれる任意のコンパクト区間 $ K$ に対して

$\displaystyle \left\Vert
\bm{F}(t,\bm{x}_1)-\bm{F}(t,\bm{x}_2)
\right\Vert
\...
...bm{x}_1-\bm{x}_2\right\Vert,\quad
L:=\max_{t\in K}\left\Vert A(t) \right\Vert
$

ゆえに $ \left.\bm{F}\right\vert _{K\times\mathbb{R}^n}$ は、 連続かつ $ \bm{x}$ について Lipschitz 条件を満たす。 ゆえに $ t\in K$ で解が存在し、一意的である。 $ K$ の任意性から、$ t\in I$ で解が存在し、一意的である。



桂田 祐史