3.2 初期値問題の解

(C.22) に加えて、初期条件

$\displaystyle x(0)=c$ (3.3)

を課した初期値問題の解は次式で与えられる。

$\displaystyle x(t)=\frac{kc}{\lambda c+(k-\lambda c)e^{-kt}}.$ (3.4)

必修課題 3.2.1 (C.22)   は変数分離形の微分方程式であるから、 よく知られた方法で解くことができる。それを実行して、 (G.3) が正しいことを確認せよ。

しばらく (とりあえず) $ c$ は実数の定数としておく (人口の場合、負の数はナンセンスであるが)。

細かい話 (解の存在範囲) -- 最初はスルーしても良いです
     $ 0\le c\le\dfrac{k}{\lambda}$ の場合、 (G.3) の分母は 0 にならないが、 そうでない場合は、 分母は $ t_\ast:=-\dfrac{1}{k}\log\dfrac{\lambda c}{\lambda c-k}$ のとき (のみ) 0 になる。 $ t_\ast$ の符号を調べると、次のことが分かる。
(i)
$ 0\le c\le\dfrac{k}{\lambda}$ の場合、 初期値問題の解の存在範囲は $ \mathbb{R}$.
(ii)
$ c>\dfrac{k}{\lambda}$ の場合、 初期値問題の解の存在範囲は $ \left(t_\ast,+\infty\right)$. $ t_\ast<0$ であるので $ [0,+\infty)$ を含む。
(iii)
$ c<0$ の場合、 初期値問題の解の存在範囲は $ \left(-\infty,t_\ast\right)$. $ t_\ast>0$ であるので $ [0,+\infty)$ を含まない ($ t=+\infty$ までは解が延長されない)。
(生物の個体数を考えるときは、$ c<0$ はナンセンスな初期値なので、 (iii) の場合に$ t$の範囲に限界があることはあまり問題にされない。)

必修課題 3.2.2   $ \lambda$, $ k$ を適当に決めて、 色々な $ c$ に対する解のグラフ (横軸 $ t$, 縦軸 $ x$) を1つの図に描け。 (注: $ c<0$, $ c>\frac{k}{\lambda}$ の場合も含めること。)



桂田 祐史