を最小にするものは、
は
であるから、
が必要十分である。Green の積分公式3して
これが任意の
以上の議論から、
を最小にするような
を見出せば問題が解決することが分かる。
は常に
を満たすので、
が下に有界でありることは明らかで、
従って
の下限が存在する。
(この下限は最小値であるから)、最小値を与える
が存在する、と議論したのだが、
Weierstrass は「下限は最小値である」ことに疑義を示した
(「数学解析」を学んだ人は、
いかにも Weierstrass がツッコミそうなところと思うかも)。
残念ながら若くして亡くなった Riemann は、 Weierstrass の批判に答えることが出来なかった。 この論法による完全な証明は、 約 50 年後 (1900年頃) の D. Hilbertまで持ち越された。 そのやり方は、Laplace 方程式以外の多くの微分方程式に対しても拡張され、 今では「弱解の方法」と呼ばれる。
本当は、Dirichlet の原理は、 C. F. Gauss (1777-1855) がルーツで、 物理学の世界ではすでに知られていた考え方で、 それを Riemann が純粋数学に応用した、という見方をする人もいる。
弱解の方法は、数値計算とも相性がよく、 そこに基礎を置く W. Ritz による Ritz の方法は 1909 年に発表され次第、 重要な地位を占めている。 この Ritz-Galerkin 法は有限要素法の基礎ともなっている。
(差分法の基礎を、 導関数の差分商への置き換え+領域の格子への分割とまとめるのを真似ると、 有限要素法の基礎は、Ritz-Galerkin法+領域の有限要素への分割、 とまとめるのが良いだろうか。)
桂田 祐史