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4.2.3 巾乗法(power method)

ここでも問題は対称であると仮定する。

与えられた行列の絶対値最大の固有値を求めるための、累乗法あるいは巾乗 法4.2を説明する。

行列 $A$ の固有値 $\{\lambda_i; i=1,2,\cdots,n\}$ は絶対値の順に番号 づけられているとする:

\begin{displaymath}
\vert\lambda_1\vert\ge\vert\lambda_2\vert\ge\cdots\vert\lambda_n\vert.
\end{displaymath}

また、 $\{u_i; i=1,2,\cdots,n\}$$\{\lambda_i\}$ に対応する $A$ の固 有ベクトルからなる正規直交基底とする。

ここで話を簡単にするために次の仮定をおく。

仮定:      $\vert\lambda_1\vert>\vert\lambda_2\vert$.
この時、適当な $x_0$ ( $x_0\not\in Span\{u_2,u_3,\cdots,u_n\}$) を選んで

\begin{displaymath}
\left\{
\begin{array}{lcl}
y_{k+1} &:=& A x_k \\
x_{k+1} &:=& y_{k+1}/\Vert y_{k+1}\Vert
\end{array}\right.
\end{displaymath}

によりベクトル列 $\{x_k;k=0,1,\cdots\}$ を定めると、

\begin{displaymath}
\lim_{k\to\infty}x_k=\pm u_1
\end{displaymath}

となる。実際には十分大きな番号 $k$ を取れば、$x_k=\pm u_1$ とみなして よい。




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Masashi Katsurada
平成17年6月2日