2.3 方程式の表す現象を考える

(この項は雑談みたいなものです。)


微分方程式についての数学のテキストでは、 どういう形の微分方程式がどういう方法で解けて、 どういう性質を持つか、数学的に説明する (当然のことである)。

一方、多くの研究で微分方程式が取り扱われる理由は、 何かの問題を解決したかったからであることが多い (これも当然である)。 数学のテキストを作る場合、 一般的に役立つ内容を書こうとするので、 この部分の説明が省略されたり、ごく簡単に済まされることが多い。 ときには、数学的な準備が十分に整わないうちに問題に挑戦することも珍しくなく、 反対にその問題を解決するために数学的なことを発展させる、ということもある。

何かの現象について、微分方程式でモデルを作り、 それを解析することで解答を得た、という論文を読んだときに、 微分方程式と、その解析結果だけを読んで、 論文の問題に意識を向けない学生が時々いる。 そういう学生と初めて出会ったとき、非常に驚いたのだが、 それが唯一の例というわけでなく、 程度の差はあるものの似たようなケースにしばしば出食わすようになった。

指導するときにそういうことを念頭におく必要があると考えるようになった。 どうか、微分方程式を学ぶ際に、 なぜそれを調べる必要があったかにも目を向けるようになって欲しい。


というわけで次の問題を出す (慣れていなくても、30分程度で出来るかな?)。 マルサスの話は非常に有名なので、 資料を見つけるのは難しくないであろう。大事なのはきちんと読み取れるか。

調べ物課題 2.3.1   マルサスとはどういう人か (生年、没年、出身地、主な業績など)。 マルサスの法則とは何か。マルサスは、著書の中でどのように説明しているか。


\begin{yodan}
この微分方程式は、解が指数関数になるが、
指...
...いないのか、
とマルサスに嘆かれるだろうか。\qed
\end{yodan}


\begin{yodan}
マルサスの警告を考えると、
1972年に発表された...
...書いてあるが、すんなりと納得して良いものか。
\end{yodan}



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桂田 祐史