2.4 初期値問題の解

一般に微分方程式の解は無数に存在するが、 何か条件を加えると解が一つに確定することが多い。 代表的なものに (初期条件を加えた) 初期値問題がある。


次の (F.6a), (F.6b) を満たす $ x=x(t)$ を求めよ、という問題は初期値問題である。 (F.6b) が初期条件である。 $ x_0$ は初期値, $ t_0$ は初期時刻と呼ばれる。

\begin{subequations}% 2022-02-10 18:12の式群
\begin{align}&x'(t)=a x(t),\\ &x(t_0)=x_0.\end{align}\end{subequations}

この初期値問題の解は

$\displaystyle x(t)=x_0 e^{a(t-t_0)}$ (2.6)

である (「解は…である」で、 「解がただ一つ存在する」ということを同時に主張している)。


一般に微分方程式の解のグラフのことを、 解曲線 (solution curve) または積分曲線 (integral curve) と呼ぶ5。 後で出て来る解軌道と混同しないように注意が必要である。

図 1: 色々な初期値に対する解曲線 (解のグラフ)
\includegraphics[width=12cm]{fig/Malthus0.eps}

必修課題 2.4.1   図1 のような解のグラフを描け (方法は何でもOK)。

付録H.1 にこの図をどう描いたか説明してある。


\begin{question}
% latex2html id marker 230
(\ref{eq:マルサス初期値問...
...方にしても何か1つ答を持っていることである)。
\end{question}
式変形で方程式を解いて公式が得られる場合、 しばしば一意性 (それ以外に解がないこと) の証明にもなっているが、 変数分離形微分方程式の解法では、 割り算するところがあらわれ、 分母が0となるケースを除外して計算を進めるので、 一意性の完全な証明にはならない。


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桂田 祐史