5.2 Kepler運動

太陽と惑星が、万有引力に従って運動する場合に、 惑星がどういう軌道を描くかという問題 (二体問題, the two-body problem) が Newton によって鮮やかに解かれた。

次に掲げる、いわゆる Kepler の三法則を満たすことが証明できた。

  1. 惑星の軌道は、太陽を一つの焦点とする楕円である (1609年)。
  2. 面積速度は一定である (1609年)。
    (太陽と惑星を結ぶ線分が単位時間に描く扇形状の領域の面積は一定である。)
  3. 軌道の長半径の3乗と公転周期の2乗は比例する (1619年)。
(Newton は、ペストの流行のために大学が休みになり、 2年ほど故郷に帰っているときにこの発見をしたという。 逆二乗の法則の力を受ける天体の軌道は何かという (ハレー彗星で有名な天文学者)ハレーの問に、 「それは楕円だ」とNewtonが即答し、 驚いたハレーが Newton にプリンキピア(「自然哲学の数学的原理」, 1687年)を書かせた、というのは有名な話である。)

実は、惑星より一般の「万有引力を受ける天体」は、 楕円以外の軌道を描く場合もあるが、例外的な場合を除くと、 楕円、放物線、双曲線という円錐曲線 (二次曲線と言っても良い) になる。 美しい結果と思う。


多くの本で (部分的に) 取り上げられているが、 坂井 [22] (pp. 9-14) がよくまとまっていてお勧めである。


ところが、3つの天体になると非常に手強い問題になる (いわゆる三体問題)。 いくつかの有名な特殊解のシミュレーションをするのは面白い課題ではないだろうか。 最近出版された浅田 [22] は、学生にも読みやすいと思われる。 見かけたらページをめくってみることを勧める。


この問題は古典的ではあるが、 天体の数をうんと増やすと、銀河生成のシミュレーションなど、 現代的な話題になる。もっとも、 これは (ゼミなどで) 簡単には追試できそうにないが。



桂田 祐史