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6.3 Lanczos 原理

以下、まずは $ m=n$ , すなわち

(4) $\displaystyle {\cal K}_n=\R^n$

の場合を考える。


\begin{jtheorem}
$A\in\R^{n\times n}$, $x\in \R^n$ に対して ${\cal K}_n(A,...
...1}&\alpha_n
\end{array} \right).
\end{displaymath}\end{enumerate}\end{jtheorem}

証明. 仮定 $ {\cal K}_n(A,x)=\R^n$ より、 $ \dim{\cal K}_j(A,x)=j$ ( $ j=1,2,\dots,n$ ) が成り立つので、 $ {\cal K}_j\setminus{\cal K}_{j-1}$ は空でなく、 Gram-Schmidt の直交化法により $ \R^n$ の正規直交基底が得られる。 また作り方から明らかに任意の $ k$ に対して $ \Vector{u}_k\in{\cal K}_k$ , $ \dim{\cal K}_k=k$ であるから、 $ \{\Vector{u}_j\}_{j=1}^k$ $ {\cal K}_k$ の基底になっている。

さて、任意の $ j$ に対して、 $ \Vector{u}_j\in{\cal K}_j$ であるので、 $ A \Vector{u}_j\in {\cal K}_{j+1}$ であるから、 $ A \Vector{u}_j$ $ \Vector{u}_1$ , $ \Vector{u}_2$ , $ \dots$ , $ \Vector{u}_{\min\{j+1,n\}}$ の線形結合になる。 すなわち

$\displaystyle A \Vector{u}_j=\sum_{k=1}^{\min\{j+1,n\}}\beta_{jk}\Vector{u}_k
$

をみたす $ \beta_{jk}$ ( $ k=1,2,\dots,\min\{j+1,n\}$ ) が存在する。 $ k>j+1$ に対して $ \beta_{jk}:=0$ とおいて、 行列 $ B:=(\beta_{jk})$ を定めると、

$\displaystyle A U=U B.
$

$ \{\Vector{u}_j\}$ が正規直交基底であることから $ U$ は実直交行列で $ U^T=U^{-1}$ . これを上の等式の両辺に左からかけて $ U^T A U=B$ . もしも $ A$ が実対称であれば、

$\displaystyle B^T=(U^T A U)^T=U^T A^T (U^T)^T=U^T A U=B.
$

すなわち $ B$ も対称である。 対称な Hessenberg 行列は三重対角行列に他ならない。 $ \qedsymbol$ $ \qedsymbol$


\begin{jremark}
この定理の $\{\Vector{u}_j\}$ は次の意味で「符号...
...tor{u}_j$,
$-\Vector{u}_j$ のいずれか一方である。 \qed
\end{jremark}


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桂田 祐史
2015-12-22