11 Navier-Stokes方程式の有限要素解析

空気や水のような流体の運動 (「流れ」) は、 身近なところでも遭遇する問題であるが、 実は数学的にも典型的な非線型微分方程式で記述される現象で、 その解決は大問題である (100万ドルの懸賞がかかっている :-)。 その数値計算は工学的見地からの強い要請もあるが、 数値解析的にも重要な問題である。

数学の世界では、 有限要素法という計算法の適用が深く研究されてきた (これを正しく全部理解するには、大学院修士課程程度の数学的実力が必要である …ただそれに恐れをなす必要はなく、 実際それほど数学に詳しくない工学畑の人達が、 プログラムを開発している)。 この方法に基づく計算プログラムはきわめて組織的に作成することが可能で、 簡単な場合はほぼ「自動化」されていて (例えば FreeFEM++ などの例がある -- 付録 A (p. [*]) 参照)、 ソフトウェア的な観点から見ても学ぶに値する興味深いものである。

桂田研的には、 2次元の場合に定常 Navier-Stokes 方程式、 非定常 Stokes 方程式の C 言語によるプログラムを作成した先輩がいる。 2次元非定常 Navier-Stokes 方程式のプログラムはまだ得られていないので、 「目立つ標的」が残っている、という状況であったが、 今この問題に取り組むのであれば、FreeFEM++ を用いるのが普通であろう。

例えば2次元領域内の流体の運動の解析をするプログラムは、 C言語のようなプログラミング言語で作成すると、 1000行オーダーになるが、 FreeFEM++ では数十行程度 (30〜50行?) で済む。 これをうまく使えば、迷子になる危険は小さいと思われる。

近年、 偏微分方程式の解の精度保証付き数値計算が数値解析の重要なテーマとなっているが、 その場合に基礎とされる数値計算法は有限要素法であることが多く、 有限要素法をマスターすることは、 数値解析の研究の最前線に至る一つの道である、と考えている。 定常 Stokes 方程式に限ると、 公表されている手順にのっとって、 精度保証付き数値計算のプログラムを作成し追試まで成功した先輩 (大学院生) がいる。 Navier-Stokes 方程式でオリジナルな結果を出すことが目標となっている。

桂田 祐史
2017-04-29