3.2 平衡点は2つある

$\displaystyle f(S,I)=\bm{0}
\quad\Iff\quad
\left\{
\begin{array}[ht]{ll}
b-S(\mu+\beta I)=0\\
I(\beta S-(\mu+\gamma))=0
\end{array} \right.
$

簡単のため

(8) $\displaystyle E_1:=\left(\frac{b}{\mu},0\right),\quad E_2:=\left( \frac{\mu+\gamma}{\beta},\frac{\beta}{\mu+\gamma}-\frac{\mu}{\beta} \right)$

とおく。

$ E_2$ は感染者が存在する平衡状態 (平衡点) である。 SIRモデルの場合には、そのような平衡点は存在しなかった (感染者数が0でない限り、感受性者数は狭義単調減少)。 出生による感受性者の増加(供給)と、 感染と自然死による “減少” がつり合うことで、 平衡状態になっている。

$ E_1$ は感染者が存在しない状態である。SIR モデルと似ているが、 SIRモデルの場合は、$ S$ 軸上の任意の点 $ (S,0)$ が平衡点であったが、 ここではただ一つの点 $ E_1=\left(\frac{b}{\mu},0\right)$ である。 ( $ \dfrac{b}{\mu}=N(t)=N(0)=S(0)+I(0)+R(0)=S(0)+0+0$ であるから $ S(0)=
\dfrac{b}{\mu}$.)



桂田 祐史