2018年度 数学解析

 「数学解析」は現象数理学科2年生対象の選択必修科目です。 授業は春学期の月曜1限、413教室で行われます。 「数学の方法」を履修したことを前提として講義を行います。

連絡事項

授業資料

授業の記録

  1. 2018/4/16 30分のイントロ (「解析とは極限を扱う数学」、 「数学解析では微積分に現れる極限を論じる」、授業の受け方、宿題、 他の講義との関係等)。 論理と集合の復習(特に量称記号∀,∃の読み方、否定命題の作り方)、 極限を定義するには量称記号を含む論理が必要。 実数体 $\mathbb{R}$ の性質、 可換体(0で割ることを除いて四則演算が自由にできる)、 順序体 (全順序集合かつ演算と整合)、それと実数の連続性。 Weierstrass の上限公理。 上界とは。上に有界とは。 $A=[1,2)$ は上に有界。$A=[0,\infty)$ は上に有界でない。
  2. 2018/4/23 (風邪引いてまともに出来たか自信がない…) 問1の回収。練習 問1A(1),(2)の解説。 問1の解説。 上限の定義。$A=[1,2)$ の上限は $2$. $A=[1,2]$ の上限は… 最大値の定義 (論理式で条件を書く)。 「最大値が存在すれば、それは上限である。」 「アルキメデスの公理」とその証明。
    2018/4/30 振り替え休日。
  3. 2018/5/7 アルキメデスの公理の続き。「チリも積もれば山となる。」別証明? 意外に大事であること。 §1.5 下界, 下に有界, 下限, $\inf$, 下限公理などなど。 有界の定義 (後回しになった)。 §2 数列の極限。$\{a_n\}$ が $a$ に収束しないことを論理式で書くと。 極限の一意性は証明をサボる。$\lim_{n\to\infty}\frac{1}{n}=0$ の証明。 「収束列は有界である。」まで。 例年と比べてゆっくりな進行になっている。 昔「学生の顔を見ると、くどくなる」と言った先生がいましたが、 自分もそうなっているような気がする。
  4. 2018/5/14 「収束列の和・差・積・商は、それぞれの数列の極限の和・差・積・商に 収束する」を証明。証明は(背理法は例外であるけれど) 論理式の順番に 書く」けれど、証明を発見する・作るのは、必ずしも順番通りではない。 和はやって見せた。差は宿題。積はやって見せた。 $\left|a_nb_n-ab\right|\le\left|a_n\right| \left|b_n-b\right| +\left|b\right| \left|a_n-a\right|$ の右辺の2項を それぞれ $\varepsilon/2$ で抑えれば良いが…(いくつか注意事項はある)。 商は自分でやってみて、講義ノートと比べてみよう。 ここまでで $\displaystyle\lim_{n\to\infty}\frac{3n^2+2n+1}{n^2+2n+3} =3$ がきちんと証明できる。宿題問2を解説する。「最小値は下限である。」 ここまでが四則と極限の話。大小関係との関係。 収束列 $\{a_n\}$, $\{b_n\}$ が $a_n\le b_n$ を満たせば、 極限 $a$, $b$ について $a\le b$. それからハサミ打ちの原理。 本日のメーンイヴェントならぬ主定理「上に有界な単調増加数列は収束する。」 証明を書いてから、数直線上に図を書く。 この定理は、極限の存在を主張する定理であり、 その点は今日の他の命題とは異なる。 忘れ物「$\{a_n\}$が$a$ に収束するならば $\{|a_n|\}$は$|a|$に収束する。」 証明に用いる不等式 $||a|-|b||\le|a-b|$ について。
  5. 2018/5/21 「上に有界な単調増加数列は収束する」は極限の存在を主張する定理だが、 解析学ではこのような定理が重要である。 例えば、$\sqrt{a}$, $e$, $\pi$ のような数は極限を用いて定義出来る。 $\pi$ のところで、 Leibniz の判定基準を紹介して、証明のあらすじを図で説明する。 §2.5「∞、-∞への発散」では、定義と、$\lim_{n\to\infty}n=\infty$ の証明。それと注意「∞は実数ではない。∞に収束するとは普通は言わない。 けれど、 $\mathbb{R}\cup\{\infty,-\infty\}$ とひとまとめにして考えることもある。 ただしそうすると、体にはならない。$1+\infty=\infty$, $2+\infty=\infty$ なので引き算は無理。 §3 「関数の極限(ε-δ論法),連続関数」に入る。 とりあえず収束の定義を書く。 定数関数、$f(x)=2x+3$ を例に出す。$f(x)=px+q$ がよかったかな? 少し遅れている。
  6. 2018/5/28 $\displaystyle\lim_{x\to a}f(x)=A$, $\displaystyle\lim_{x\to a}g(x)=B$ ならば、 $\displaystyle\lim_{x\to a}\left(f(x)+g(x)\right)=A+B$, $\displaystyle\lim_{x\to a}\left(f(x)-g(x)\right)=A-B$, $\displaystyle\lim_{x\to a}\left(f(x)\cdot g(x)\right)=A\cdot B$, $\displaystyle\lim_{x\to a}\left(f(x)/g(x)\right)=A/B$. 問3の解説。 関数の連続性の定義。 多項式関数, 有理関数とは何か。 多項式関数, 有理関数が定義域全体で連続である。 合成関数の極限。 連続関数の合成関数は連続である。
  7. 2018/6/4 $\mathbb{R}^N$の性質 (特に不等式)。 点列の極限の定義と性質。 「成分ごとに考えれば良い。数列の場合に帰着される。」 多変数ベクトル値関数の極限の定義と性質。 集合の閉包 $\overline{\Omega}$ の定義。 「各成分関数ごとに考えれば良い。実数値関数の場合に帰着される。」 多変数関数の連続性の定義。 $f({\boldsymbol x})=c$ (定数関数), $f({\boldsymbol x})=x_j$ ($j$番目の座標の取り出し) の連続性。
  8. 2018/6/11 多変数の多項式関数、有理関数の連続性。 与えられた関数が連続であることの証明の例。 問5を出題。 多変数関数の極限についての注意。 1次元と違い近づき方が色々ある。 有名な $f(x,y)=\displaystyle\frac{xy}{x^2+y^2}$, $f(x,y)=\displaystyle\frac{x^2y}{x^2+y^2}$. 「$\displaystyle \lim_{\vec x\to \vec a}\vec f(\vec x)=\vec A$ ならば、より狭い $\Omega'\subset\Omega$, $\vec a\in\overline{\Omega'}$ で考えて $\displaystyle \lim_{\vec x\to \vec a\atop \vec x\in\Omega'} \vec f(\vec x)=\vec A$」。 2変数関数の場合は、Mathematicaでグラフを描いてみるのも良い。
           Plot3D[(x*y)/(x^2 + y^2), {x, -1, 1}, {y, -1, 1}]
           
  9. 2018/6/18 問5を解説。例年と同じような問題だけれど、 身につけて欲しいこと一つについて一つしか出題しないことにして、 時間を稼ぐ。$f(x,y)=x^y$ の話。 §5に入って、区間縮小法の原理。それから中間値の定理。 それから逆関数の存在と連続性が言える場合が多く、 色々なことの基礎になる。 最後に20分余裕が出たので、偏微分、$C^1$級、 全微分の定義に現れる極限の話。 (昨年度までは、この代わりに $\lim=\infty$ の話をしたけれど、 重要性を天秤にかけて、微分の話にした。) あちこち整理したおかげで、遅れを取り戻せた。平年並み。
  10. 2018/6/25 §5.3に入る。 数列の Bolzano-Weierstrass の定理。 Cauchy列と$\mathrm{R}$ の完備性。 点列の Bolzano-Weierstrass の定理。 $\mathrm{R}^N$ の完備性。 多変数関数の連続性、偏微分可能性、全微分可能性など。 問6を出題した。
  11. 2018/7/2 問6を解説した (こういうのを取り上げるのは、 数学解析では初めてである)。 「§6 Weierstrassの最大値定理(1次元)」に入った。 ていねいに証明した(講義ノートも直した)。 例をたくさんならべて、表を作るようにした(昨年度のを踏襲)。 §7「平均値の定理、Taylorの定理」。 Rolle の定理を証明して、 それから平均値の定理、Taylorの定理が出ることを言っておいた。 両方とも存在定理である。 簡単そうな 「$f'>0$ $\Rightarrow$ $f$は増加関数」 も平均値の定理を使って証明する。 §8「開集合と閉集合」にはいる。 開集合の定義と、イメージ。後3回残っている。
  12. 2018/7/9 開集合の定義とイメージを2行で復習。 位相の公理、 $f\colon\mathbb{R}^n\to\mathbb{R}$が連続のとき、 $\{x\in\mathbb{R}^n\mid f(x)>\alpha\}$ は $\mathbb{R}^n$の開集合、 という2つの定理をていねいに証明。 ここまでで時間を結構(60分)消費したので、駆け足になる。 例は軽く(用意したものを一部省略)。 閉集合の定義。開集合と同じように二つの定理を紹介する。 $[\alpha,\infty)$, $(-\infty,\beta]$, $[\alpha,\beta]$ は$\mathbb{R}$ の閉集合。 $\mathbb{R}^n$ の閉球は$\mathbb{R}^n$ の閉集合。 1点からなる集合は $\mathbb{R}^n$ の閉集合。 --- がんばっても毎年講義出来る分量はあまり変わらない感じがする。 若干失敗した去年よりは上、水準通り、かな。
  13. 2018/7/16 問7の解答。 「閉集合の点列を使った特徴づけ」という定理を紹介。 それから多次元版のWeierstrassの最大値定理を証明。 例を一つ。 $K=\left\{(x,y,z)\in\mathbb{R}^3\mid x^2+y^2/4+z^2/9=1\right\}$ で $f(x,y,z)=x+y+z$ は最大値を取る。 §9積分の話に入る。 高校では原始関数を使って積分を定義し、 原始関数が簡単に求まる場合のみを考えた。 原始関数は存在するのか? 原始関数抜きで積分を定義する。 それには…
    次回は積分の定義と、閉区間 $[a,b]$ 上の連続関数 $f$ の 積分 $\displaystyle\int_a^b f(x)\;d x$ が存在することを示し、 それから微積分の基本定理の証明をする予定。
  14. 2018/7/23 「$\mathbb{R}$ の有界閉区間 $[a,b]$ で連続な関数 $f\colon[a,b]\to\mathbb{R}$ は$[a,b]$で積分可能」 を証明する。 一様連続性も証明する必要があった。 アンケートもあったし、ここで時間切れ。 微積分の基本定理くらいやりたかった。

問 (小テスト、宿題)

 提出方法を今年度の途中から、レポートBOXへの投函に切り替えました。 7/16晩 解答を載せる予定。 主だったものから順に Oh-o! Meiijで返却していきます。

練習 (提出不要の問題)

参考資料

過去問

某年度期末試験の後のお説教 (参考)

  1. 定義をきちんと書けるくらい覚えていないと、 何も出来るはずはありません。 その後も一応採点するけれど、ほとんどが間違いです。
  2. 量称記号∀∃を使って表される論理は順番が重要で、 間違えると後出しジャンケンのようなもの。 それだけでルール違反、失格と認定されます。
  3. 証明せよと要求していることを「明らか」「自明」はダメです。

katurada@meiji.ac.jp (@はASCIIの@)
Last modified: Sun Aug 12 23:22:50 2018