2.2.1.1 (P) の解が (W) を満たすこと

$ u$ が (P) を満たすとする。 任意の $ v\in X$ を (2.5) にかけて、$ [0,1]$ で積分し、 部分積分すると、

$\displaystyle -\left[u'(x)v(x)\right]_0^1+\int_0^1 u'(x)v'(x)\;\Dx=
\int_0^1 f(x)v(x)\;\Dx.
$

$ X$ の定義から $ v(0)=0$, また (2.3) が成り立つので、

$\displaystyle \left[u'(x)v(x)\right]_{0}^1=u'(1)v(1)-u'(0)v(0)=\beta v(1).
$

ゆえに

$\displaystyle \int_0^1 u'(x)v'(x)\;\Dx=\int_0^1 f(x)v(x)\;\Dx+\beta v(1).
$

すなわち $ u$ は問題 (W) の解である。 $ \qedsymbol$



\begin{question}
逆に問題 (W) の解は、$C^2$ 級であれば、(P) の解でもあることを示せ。
\end{question}


次に変分問題3(variational problem) にしたものを述べる。
問題 (V)
$ X_{g_1}$ に属する $ u$$ J$ を最小にするもの、すなわち

$\displaystyle J[u]=\inf_{w\in X_{g_1}} J[w]$   ($ \inf$ は結局は $ \min$ と書いても良い)

を満たすものを求めよ。ただし

$\displaystyle J[u]:=\frac{1}{2}\int_0^1 u'(x)^2\Dx-
\int_0^1 f(x)v(x)\;\Dx-\beta v(1).
$

$ J$ が汎関数であることに注意しよう。

(W) と (V) は同値な問題であり、 常に一意的な解を持つことが比較的容易に分かる。


\begin{question}
(W)と(V)が同値な問題であることを示せ。(ヒン...
...ath}が成り立つことが簡単な計算で確認できる。)
\end{question}

逆に $ f$ がある程度滑らかであれば、 (W), (V) の解は (P) の解であることが示される。

問題 (V) の解 (それは (W) の解でもある) が$ C^2$級であることを認めると、 (P), (W), (V) は互いに同値な問題ということになる。 (W) $ \THEN$ (P) は、Dirichlet 原理の一般化である (Laplace 方程式のDirichlet境界値問題の場合、 この $ J$ は Dirichlet 積分 (の$ 1/2$倍) に他ならない。)。


そこで問題 (P) を解く代わりに、(W) あるいは (V) を解くことを目指す。


通常、変分法は、変分問題を解くために、それと同値な微分方程式の問題を導き、 そちらを解くことで変分問題の解を得るのが普通であるが、 ここでは逆に微分方程式の問題を解くために、それを変分問題に書き換え、 それを直接解く、という手順の議論をしている。 これは、変分法の直接法と呼ばれるものになっている。



桂田 祐史