6.2 基本解の方法

簡単のため、 $ \Gamma_N=\emptyset$ の場合の Laplace 方程式の境界値問題

      $\displaystyle \Laplacian u(x)=0$   ( $ x\in \Omega$)$\displaystyle ,$
      $\displaystyle u(x)=g_1(x)$   ( $ x\in\Gamma_D=\rd\Omega$)

を取り上げる。

$ \Omega $ が滑らかな境界を持つ有界領域の場合に、 この境界値問題が一意的な解を持つことは知られている。

$ \Omega $ が (円盤とか、長方形とか) 特別な形をしている場合に、 解 $ u$ を求める公式はいくつか知られているが、 ここでは多くの場合に使える数値解法を紹介する。 一見素朴であるが、多くの場合に良好な近似解を得ることが出来る。

$ \Omega $ の外部に$ \Omega $ を「囲むように」点 $ \{y_k\}_{k=1}^N$ を取り、

$\displaystyle u^{(N)}(x)=\sum_{k=1}^N Q_k E(x-y_k)
$

とおく (もちろん、$ E$ は Laplacian の基本解である)。 ここで $ Q_1,Q_2,\dots,Q_N$ は未定係数である。これらが何であっても

$\displaystyle \Laplacian u^{(N)}(x)=0$   ( $ x\in\mathbb{R}^n\setminus\{y_1,y_2,\dots,y_N\}$)

が成り立つ。 もし $ u^{(N)}(x)=g_1(x)$ ( $ x\in\rd\Omega$) が成り立てば $ u^{(N)}$ は解である。さすがにそんな都合の良いことはめったにおこらないが、 多くの場合、境界 $ \rd\Omega$ 上で選んだ点 $ x_1,\dots,x_N$ に対して

$\displaystyle u^{(N)}(x_j)=g_1(x_j)$   ( $ j=1,2,\cdots,N$)

を満たすように $ Q_k$ を決めることが出来る。このとき

$\displaystyle u^{(N)}\kinji u
$

が成り立つことが期待できる。この近似解法を、 the method of fundamental solutions (基本解の方法, fundamental solution method), あるいは代用電荷法 (charge simulation method) と呼ぶ7

次のような利点がある。

基本解の方法以外に、基本解を利用する方法として、 境界要素法 (boundary element method, BEM) がある。



桂田 祐史