簡単のため、
の場合の Laplace 方程式の境界値問題
を取り上げる。
が滑らかな境界を持つ有界領域の場合に、
この境界値問題が一意的な解を持つことは知られている。
が (円盤とか、長方形とか) 特別な形をしている場合に、
解 を求める公式はいくつか知られているが、
ここでは多くの場合に使える数値解法を紹介する。
一見素朴であるが、多くの場合に良好な近似解を得ることが出来る。
の外部に を「囲むように」点
を取り、
とおく (もちろん、 は Laplacian の基本解である)。
ここで
は未定係数である。これらが何であっても
(
)
が成り立つ。
もし
(
) が成り立てば
は解である。さすがにそんな都合の良いことはめったにおこらないが、
多くの場合、境界 上で選んだ点
に対して
(
)
を満たすように を決めることが出来る。このとき
が成り立つことが期待できる。この近似解法を、
the method of fundamental solutions (基本解の方法,
fundamental solution method), あるいは代用電荷法 (charge
simulation method) と呼ぶ7。
次のような利点がある。
- しばしば誤差の指数関数的減少
が成り立つ
(この場合は、差分法や有限要素法と比較して、
高精度の解が少ない計算量で得られる)。
- 自身が調和関数であり、特に
のように が直接計算できる
(ポテンシャルの が必要な場合が多いので、非常に便利である)。
基本解の方法以外に、基本解を利用する方法として、
境界要素法 (boundary element method, BEM) がある。
桂田 祐史