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5.9 おまけ -- 実際的な誤差の推測

急速に $\alpha$ に収束する列 $\{x_n\}_{n\in\N}$ があるとき、

\begin{displaymath}
\eps_n\DefEq=\Vert x_n-\alpha\Vert
\end{displaymath}

で定義される誤差の大きさについて、十分先の番号 $n$ に対しては

\begin{displaymath}
\eps_{n+1} << \eps_n
\end{displaymath}

が成り立つので、

\begin{displaymath}
\Vert x_n-x_{n+1}\Vert \le \Vert x_n-\alpha\Vert+\Vert x_{n+1}-\alpha\Vert =
\eps_n+\eps_{n+1} \simeq \eps_n.
\end{displaymath}

よって

\begin{displaymath}
\Vert x_n-x_{n+1}\Vert
\end{displaymath}

$x_n$ の誤差の大きさ $\eps_n$ の見積りとすることが出来る。

急速に収束しない列の場合はどうか?例えば $n$ を分割数とした時の差分 法の解 $u^{(n)}$ などでは、この仮定が成り立たないと思われる。 そういう場合は例えば

\begin{displaymath}
x_j \DefEq u^{(2^j)}
\end{displaymath}

とすることによって、同じテクニックが使える。つまり例えば $n=512$ のと きの近似解と $n=1024$ の時の近似解の差の大きさを、$n=512$ の時の近似解 の誤差の大きさの見積りとすることが出来る。


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Masashi Katsurada
平成17年6月2日