有名な基本再生産数 (basic reproduction number) とその意味 (「基本再生産数が より小さいと感染者数は減少して16、 より大きいとしばらくの間は増える (流行する)」… -- これをいきちげんり閾値原理と呼ぶことがある) を説明する。
方程式をいわゆる無次元化して、簡潔な形に変換してから説明する。
このとき次式が成り立つ。
以上をまとめておく。
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もともと , , は個体数 (人口) なので単位は例えば「人」、 は時刻なので単位は例えば「日」であるが、 , , , , そして も無次元量であり、単位を持たない 17。
, , は、 それぞれ感受性者、感染者、除去者の全体(全人口)に占める率である。 COVID-19の第1波では、 であったと言われている (そう仮定してシミュレーションが行われた)。 この場合、 は 日を単位として測った時刻ということになる。
以下では、 を省いて
単位を替えただけなので、元の問題と本質的な違いがある訳ではない。 次の2つの定理は、二つ目の (5), (6) 以外は前の定理で証明ずみとして良い。
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(とりあえず を満たす の存在を認める。) は狭義減少関数なので に対して、 . ゆえに . ゆえに であるから、 は減少関数である。
は単調減少で、 ( ) であるから、 が存在する。
も最初のうちは単調増加という場合もあるが、 あるところから先は単調減少に切り替わり、 やはり ( ) であるから、 が存在する。
実は が成り立つことを背理法で証明しよう。 と仮定すると、 ある正数 が存在して、 すべての に対して . これから
メモ: 十分時間が経過すると となることの証明: 背理法を用いる。 () と仮定すると、 . ゆえに . これから . ゆえに . これは と矛盾する。
以下の (6.9) という方程式を掲げている本も多いので、 問にしておく。
(6.7) |
桂田 祐史