I..2 高橋 [1] の記述を検討する

高橋 [1] p. 39
以下, $ \dfrac{\D}{\D t}$$ D$ と略記する。このとき,

$\displaystyle (D-\alpha)(D-\beta)u=(D^2-(\alpha+\beta)D+\alpha\beta)u=(D-\beta)(D-\alpha)u$ (2.7)

が成立する.実際, 左辺$ =(D-\alpha)D u-\beta u)
=D(D u-\beta u)-\alpha(Du-\beta u)=D^2 u-\beta D u-
\alpha D u+\alpha\beta u=$中辺. 対称性より, 中辺$ =$右辺.したがって, (7)から帰納的に,次の等式が成立することがわかる:

$\displaystyle P(D)a\equiv D^n u+c_1 D^{n-1}u+\cdots+c_{n-1}D u+c_n u = (D-\lambda_1)^{n_1}\cdots(D-\lambda_r)^{n_r} u.$ (2.8)

さらに,この右辺の, $ (D-\lambda_p)^{n_p}$ たちの順序を入替えても $ P(D)$ に等しい.

これは (i) の解釈をした上で、

$\displaystyle (D-\alpha)\left((D-\beta)x\right)=P(D)x
$

であることを証明していると考えられる。

このテキストでは、(この後も) 微分多項式は必ず関数に作用させる (右に関数が書いてある) 形で登場し、

$\displaystyle (D-\alpha)(D-\beta)=f(D)
$

のような関数抜きの式は見当たらない。

$ (D-\lambda_r)^{n_r}u$ という式が出て来るが、これはどう解釈すべきだろうか。

$\displaystyle (D-\lambda_r)^{j+1}u
=(D-\lambda_r)\left((D-\lambda)^ju\right)$   ( $ j=1,\cdots,n_r-1$)

により定義するのかな?

当たり前であるが、きちんと書かれている。



桂田 祐史