F..6 線形同次方程式の解空間の次元


\begin{jtheorem}[線形同次方程式の解空間の次元]
$n\in\mathbb{N}$, ...
...t\in I$)}\right\}
\end{displaymath}の次元は $n$\ である。
\end{jtheorem}

証明. $ 1\le i\le n$ に対して、 第$ i$成分が$ 1$で、その他の成分が0である$ n$次元ベクトルを $ \bm{e}_i$ とする。 $ \bm{e}_1$, $ \cdots$, $ \bm{e}_n$ は1次独立である。 そこで、任意の$ t_0\in I$ に対して

$\displaystyle \bm{x}'(t)=A(t)\bm{x}(t)$   ($ t\in I$)$\displaystyle ,\quad \bm{x}(t_0)=\bm{e}_i
$

の解を $ \bm{\varphi}_i$ ( $ i=1,2,\cdots,n$) とすると、 $ \bm{\varphi}_1$, $ \cdots$, $ \bm{\varphi}_n$$ 1$次独立である。

$ \bm{x}$ $ \bm{x}'(t)=A(t)\bm{x}(t)$ ($ t\in I$) の任意の解とする。 このとき

$\displaystyle \bm{a}=(a_1,\cdots,a_n)^\top:=\bm{x}(t_0),
$

$\displaystyle \bm{y}(t):=a_1\bm{\varphi}_1(t)+\cdots+a_n\bm{\varphi}_n(t)
$

とおくと、

$\displaystyle \bm{y}(t_0)=a_1\bm{\varphi}_1(t_0)+\cdots+a_n\bm{\varphi}_n(t_0)
=a_1\bm{e}_1+\cdots+a_n\bm{e}_n
=\bm{a}=\bm{x}(t_0).
$

初期値問題の解の一意性によって $ \bm{y}=\bm{x}$. すなわち

$\displaystyle \bm{x}(t):=a_1\bm{\varphi}_1(t)+\cdots+a_n\bm{\varphi}_n(t)$   ($ t\in I$)$\displaystyle .$

ゆえに $ \bm{\varphi}_1$, $ \cdots$, $ \bm{\varphi}_n$ は解空間の基底である。 ゆえに解空間の次元は $ n$ である。 $ \qedsymbol$ $ \qedsymbol$



桂田 祐史