ウィキペディア (http://www.1911encyclopedia.org/John_Napier) が結構詳しくて便利である。 University of St Andrews にある数学者の伝記ページの Napier の項 (http://www-gap.dcs.st-and.ac.uk/~history/Mathematicians/Napier.html) も参考になる。 また志賀 [14] も必読の参考書である。
John Napier (1550 年スコットランドの Edinburgh に生まれ、 1617 年 Edinburgh にて没する)。
ネーピアはスコットランドの Merchston の Baron (男爵) であった (生地は現在ネイピア大学の敷地内にあるという)。
13才でセントアンドリュースのセント・サルヴェイター・カレッジに入学したが、 そこで学位を取った記録は見つかっていないそうであり、 最初に学んだのは神学で、 数学などをどこでどのように学んだのかは定かではない。 一方で留学を勧める叔父から Napier の父への手紙などが残っていて、 海外に留学していたと考えられているが、 どこで何を学んだか詳しいことは何も分かっていないらしい。
熱心なプロテスタント、占星術の熱心な信奉者であった。
数学上の業績としては、 球面三角法3 の公式、 計算棒 “numbering rods” (Napier's bones) の発明, 小数点の記号として “.” を使うことの提唱、 対数表の作成などがある (どれも普通の百科事典に載っているような折り紙つきの業績)。
1594年には対数の概念に到達していたと言われている (何でも 1954 年にティコ・ブラエーに対数表を見せながら説明したとか …ほんまかいな)。 20年間計算を続けて7桁対数表を作り (発表の 20 年ほど前から対数について考えていたと書き記してあること)、 1614年に『すばらしい対数表の使い方』 (おどろくべき対数表の使い方?) “Mirifici logarithmorum canonis descriptio” を出版した (その2年後の1616年に、 Edward Wright による英訳 [15] が出版された、 現代英語訳 Bruce [16] もある)。
「 から
までの1分おきの角の正弦の (Napier) 対数
の表を添え、対数が天文計算などに有用なことを示した」
(平凡社の世界大百科事典から)
ギリシャ語の “
ó
o
” (ロゴス,
比を意味する) と
“
” (アリスモス, 数を意味する) を合成して
“logarithm” という語を作った。
(最初は “artificial numbers” (そうでない数を “natural numbers”) と呼
んでいたとか。)
対数の発見はビュルギの方が先という説もあるが、 少なくとも発表は Napier が先である (というかビュルギは発表していない)。
1616, 1617 年、Briggs とやりとりをした(後述)。
1618年、Briggs の三度目の訪問の前に没する。 1619年息子の Robert Napier によって、 遺稿である『すばらしい対数表の作成方法』 “Mirifici Logarithorum Canonis Constructio” ([11]) が出版された (英訳 Bruce [16] がある)。 ここでは小数が用いられている。 小数点の使用を提案しているとか。
桂田 祐史