D..1 太陽は動かないとすると

藤田 [10] では、太陽は静止していると見なした。 その結果得られる微分方程式は以下のようになる。 太陽の位置を原点として、 惑星の位置ベクトルを $ \Vector{r}$ とすると、惑星の運動方程式は、

(7) $\displaystyle m\frac{\D^2\Vector{r}}{\D t^2}= -\frac{G M m}{\left\vert\Vector{r}\right\vert^3}\Vector{r}.$

ただし $ m$, $ M$ はそれぞれ惑星、太陽の質量で、$ G$ は万有引力定数である。 実際には、(反作用として) 太陽も惑星からの万有引力を受けるので、 太陽も (わずかながら) 動くから、この運動方程式は厳密には正しくない。 太陽の質量が惑星と比較してかなり大きいので許される仮定とも言える 3が、太陽が動いたとしても、方程式中の量の意味を少し読み替えれば済むとい う意味で良い近似になっている (詳しいことは以下の説明を読んで下さい)。

(12) から微分方程式

(8) $\displaystyle \frac{\D^2\Vector{r}}{\D t^2}= -\frac{G M}{\left\vert\Vector{r}\right\vert^3}\Vector{r}$

が得られる。


脱線: これによると、惑星の運動は惑星の質量には依らないことが分かる (地球がダイエットに励んでも、1年の長さは変らない)。



桂田 祐史