解答の分析

最後の式は

$\displaystyle p=\left(u,\frac{v}{\Vert v\Vert}\right)\frac{v}{\Vert v\Vert}
$

と変形できる。

$\displaystyle n=\frac{v}{\Vert v\Vert}
$

とおくと、これは $ v$ 方向の単位ベクトル (あるいは $ v$ を正規化したベクト ル) であり、

$\displaystyle p=(u,n)n
$

となる。$ (u,n)$ $ u$ $ v$ 方向の成分とも言うべき量である。 $ u$ $ v$ のなす角を $ \theta$ とすると、

$\displaystyle (u,n)=\Vert u\Vert\cos\theta
$

であるから、 $ u$ $ {\rm Span}(v)$ への影の (符号付きの) 長さとも言えることが分かる (図を描こう!)。

$ p$ は直線上で最も $ u$ に近い点である、すなわち

$\displaystyle \Vert p-u\Vert=\min_{x\in{\rm Span\;}(v)}\Vert x-u\Vert
$

が成り立つ。これは直角三角形では斜辺は垂辺より長い、 という極めて当たり前の話である。このことの証明はピタゴラスの定理

$\displaystyle \Vert x-u\Vert^2=\Vert x-p\Vert^2+\Vert p-u\Vert^2
$

から得られる不等式

$\displaystyle \Vert x-u\Vert^2\ge\Vert x-p\Vert^2
$

による。

調子に乗って、少し拡張した問題を考えてみよう。
\begin{mondai}
内積空間で $1$ 次独立なベクトル $v_1$, $v_2$ が...
...${\rm Span\;}(v_1,v_2)$ に下ろした垂線の足を求めよ。
\end{mondai}

桂田 祐史
2017-04-30