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11.3.0.1 定理11.1 の証明

線型形式の独立性 (行列のランクというべき?) の議論をしている。

$ x=Sy$ , $ x=R z$ という正則変数変換で

    $\displaystyle (Ax,x)$ $\displaystyle =\alpha_1 y_1^2+\cdots+\alpha_r y_r^2-\alpha_{r+1}y_{r+1}^2- \cdots-\alpha_{p}y_p^2$   ( $ \alpha_j>0$ )
      $\displaystyle =\beta_1 z_1^2+\cdots+\beta_s z_s^2-\beta_{s+1}z_{s+1}^2-\cdots -\beta_q z_q^2$   ($ \beta_j>0$ )

と対角化できたとする。一般性を失うことなく $ p\ge q$ として良い。 目標は $ p=q$ , $ r=s$ を証明することである。

$ y_j$ , $ z_k$ は変数 $ x$ についての線形形式と見なせる。 $ y_j$ 同士、$ z_k$ 同士は1次独立である。

もしも $ r<s$ ならば、$ y_1$ , $ \cdots$ , $ y_p$ $ y_1$ , $ \cdots$ , $ y_r$ , $ z_{s+1}$ , $ \cdots$ , $ z_q$ の1次結合では表せない。 (もし出来たとすると、独立な $ p$ 個の1次形式 $ y_1$ , $ \cdots$ , $ y_p$ が、 それより少ない $ r+(q-s)$ 個の1次形式で表せることになって矛盾する。 $ r+(q-s)=(r-s)+q<q\le p$ に注意)。 例えば $ y_{k}$ , $ r+1\le k\le p$ $ y_1$ , $ \cdots$ , $ y_r$ , $ z_{s+1}$ , $ \cdots$ , $ z_q$ で表せなかったとすると、

$\displaystyle y_1=\cdots=y_r=z_{s+1}=\cdots=z_q=0,\quad y_{k}=1
$

$ x_1$ , $ \cdots$ , $ x_n$ に関する連立1次方程式として解を持つ。 しかし、

    $\displaystyle (Ax,x)$ $\displaystyle =\alpha_1\cdot 0^2+\cdots+\alpha_r\cdot 0^2-\alpha_{r+1}y_{r+1}^2 -\cdots-\alpha_{k}\cdot 1^2-\cdots\alpha_p y_p^2 \le -\alpha_{k}<0,$
    $\displaystyle (Ax,x)$ $\displaystyle =\beta_1 z_1^2+\cdots+\beta_s z_s^2-\beta_{s+1}\cdot 0^2-\cdots-\beta_q\cdot0^2\ge 0$

となって矛盾する。

同様に $ r>s$ ならば、$ y_1$ , $ \cdots$ , $ y_r$ $ y_{r+1}$ , $ \cdots$ , $ y_p$ , $ z_1$ , $ \cdots$ , $ z_s$ で表されない。 例えば $ y_k$ ( $ 1\le k\le r$ ) が $ y_{r+1}$ , $ \cdots$ , $ y_p$ , $ z_1$ , $ \cdots$ , $ z_s$ で表されないとすると、

$\displaystyle y_{r+1}=\cdots=y_p=z_1=\cdots=z_s=0,\quad y_k=1
$

$ x_1$ , $ \cdots$ , $ x_n$ に関する連立1次方程式として解を持つ。 しかし、

    $\displaystyle (Ax,x)$ $\displaystyle =\alpha_1\cdot y_1^2+\cdots+\alpha_k\cdot 1^2+\cdots\alpha_r\cdot y_r^2-\alpha_{r+1}\cdot 0^2-\cdots-\alpha_p\cdot 0^2\ge \alpha_k>0,$
    $\displaystyle (Ax,x)$ $\displaystyle =\beta_1\cdot 0^2+\cdots+\beta_s\cdot 0^2 -\beta_{s+1}\cdot y_{s+1}^2-\cdots-\beta_q\cdot\beta_q^2\le 0$

となって矛盾する。

ゆえに $ r=s$ . 必要ならば $ (-Ax,x)$ を考えることによって、 負の係数を持つ項の個数が等しいことも示せる。$ \qedsymbol$

上で書いたように、実は $ p=q=\rank A$ であるから、 それを利用するともう少し見通しの良い証明が得られる。

証明. (準備中) $ \qedsymbol$ $ \qedsymbol$


この証明はやや分り辛い (少なくとも私にとって)。 そこでこれとは独立に定理 11.2 の証明を与える (これは自前ででっち上げたものなので、後でもう一度チェックすること)。


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桂田 祐史
2015-12-22