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なんでヤコビ行列なんかが出て来るのか、不思議に感じる人がいるかも知れ
ません。高校数学を思い出すと、「微分する=接線の傾きを求める(接線を引
く)」、という幾何学的理解が有効でした。接線の傾きを知るだけで結構色々
なこと (関数がそこの近くで の増加にともない増加しているのか、減少
しているのか、極値となっているか等)が分かるということでした。曲線
の点 における接線
とは、 の近く
で、 を1次式で近似したもの、ということです(というか、そういうふうに
解釈するのが、微分法の現代的な見方です)。大学の数学では、話が多次元に
なってしまって、微分することの意味が少し見え難くなりましたが、「微分す
るとは1次式で近似することだ」という認識は有効です。多次元の場合の1次式
とは ( は行列、, はベクトルで、 は行列とベクトルの
かけ算を表す)の形の式のことです。つまり を点 で微分して、微
分係数(ヤコビ行列)が になったということは、
と考えられる、ということだったわけですね。 の近くでは、
という1次式を調べるだけで、色々分かる、ということです。
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Masashi Katsurada
平成18年4月28日