http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/labo/report/open/2004-okada.pdf で公開中 である。
1998年度卒研の遠藤洋一・高木章裕・内藤達也「円盤領域における熱方程式の研究」 の後を継いだものである。 そこでは空間変数を極座標変換してから差分法を用いて、 陽解法と 方向のみ陰的に扱った「半陰解法」を扱い、 安定性について実験と「推測 (山勘とも言う)」で分析している。
この問題について、 筆者 (桂田) はつい最近まで、
と書いたときの行列 のスペクトル半径 を調べることを思いついた。 MATLAB を使えば比較的簡単に計算できるだろう…
それを誰かやりませんか、 と挑戦者を募ったところ名乗りをあげてくれたのが岡田君だった、 ということである。その結果は次のようなものとなった。
…またまた予想外の結果である。 時間刻み幅 が大きい場合、 (i) からは不安定と思われるのに、 (ii) からは であるように思える。 とっさに、 の Jordan 細胞のサイズが 以上になるということか? (長方形領域の場合とは異なり、行列 は対称でないことに注意) と考えたのだが、固有値は重根ではなさそうなので19、それはない。 (i), (ii) どちらかが間違っている、ということだろうか。 謎が深まる。
というわけで、 この課題はまた誰かの再挑戦を待つ、ということになる。 次回は長方形領域における ADI 法の安定性の証明 (結果は「常識」だが、 筆者は証明を見たことがない) も込めてやってみたい。
岡田君は、C のみならず、 桂田の 30 分レクチャーで MATLAB を使わされての奮闘。 (少々無責任な言い方になるが) よく出来たものだと思う。 彼の今回の結果を詳しくチェックすることは非常に重要である。
(念のため: 結果がほぼ確実に矛盾しているわけで、 どこかで間違えているのだろうけれど、 道の途中ということで、 責められるべきことではない。)