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11.3 小林雄太「BZ反応」

http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/labo/report/open/2004-kobayashi.pdf で公開中 である。なお、 http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/labo/report/open/2004-kobayashi-prog/ に プログラムがある (WWW ブラウザーで実験できる)。


これまで二度挑戦されたにも関わらず詰め切れていない BZ 反応への 三人目の挑戦者登場。

今回の小林君とはそれなりにキャッチボールが出来たこともあって、 段々と様子が分かっていった。 先輩のシミュレーターではまともに描けていなかったベクトル場がまっとうに 表示できるようになった。 また解の計算の途中の「状況」を報告する窓を用意したのも、 後輩達へのプレゼントとなる改良である。

経過報告。それなりに前進したが、肝心の解曲線がうまく描けない (先輩のプログラムではうまく描けていないことが明らかになったのも、 前進である)。 どうもこの問題はパラメーターの値がかなり「極端」なので、 素朴なソルバーだけで解の様子を追求するのは難しいということらしい。 本来解が閉じ込められているはずの第1象限から、 計算した解が飛び出してしまったりする (こりゃひどい)。 普通の数学者としての対応は、 力学系の相図を分析する常套手段を用いて、ということだろうが、 ここは常微分方程式のソルバーを改良することで 正しい相図を描くことを目指してみた。 ダメ元で出したアイディアが古典的な 4 次の Runge-Kutta 公式に 換えて Runge-Kutta-Fehlberg 公式 (RKF45) を用いる、 というものであったが、 小林君が乗ってくれて、楽しい hacking の時間到来。 試行錯誤の末、何とか我慢できる出来のプログラムが出来上がった (RKF45 はアイディアを納得しやすいが、 ちゃんと動くプログラムを作るのは案外と難しい… 納得しやすいと感じるのはアイディアの表層だけで、 本当は決して易しくないのかな)。

これで、 BZ 反応の (空間パターンを無視した) 時間発展を調べるという テーマはひとまずは打ち切り、としたい。

RKF45 公式のプログラムは (決して納得作というわけではないが) 今後多くの場面で参考になるものと期待される。 渦糸の力学系や三体問題のシミュレーションなどへの適用は楽しみである。


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桂田 祐史
2015-12-24