7.2 ピアノ弦の inharmonicity

数学セミナーに掲載された太田「ピアノ弦の性質と調律曲線」 [71] に書いてあることは、数学者に対する挑戦状のようで面白い。 実際のピアノの弦の振動は非線形問題である、 「非線形性」の原因は一体何なのか、その本性を明らかにせよ、 ということだろう。

倍音成分の周波数を高精度に求めるためには、 松山君の時のような素朴な手法ではだめで、 工学分野で培われた技法をまなぶ必要があると思われる (城戸 [44], [45] 参照)。 必要ならばピアノのモデルを考えて、シミュレーションすることによって、 ピアノの音の非線形性の原因をさぐるというスタンスを保てば、 数学としての研究になるのではないか (9 節も見よ)。

川口・中居 [71] のような論文も見つかっている。


実際にピアノに触れることが出来て、 調律師の人に質問する機会が持てると面白くなる、と想像している。

桂田 祐史
2017-04-29