5.1 Shortley-Weller 近似とは

差分法は縦横の格子線で出来る格子が基本で、 「曲がっている」領域の問題は、 変数変換でまっすぐにしてから差分法で解く、 というのが一つのスタンダードなのだけど、 これは言うは易く、行うのはかなり面倒な方法です。 そうしないで、境界付近で不等間隔差分を用いることを我慢して頑張る、 という Shortley-Weller 近似に注目しています。 色々な形の領域でのシミュレーションが案外簡単に実行できるのは面白い。 既に金子裕司 [79], 久保田祥史 [71], 濱勇樹 [60] という卒研レポートがあるが、 思いの外簡単に解けてしまっているようで (そのため実はあまり反省的分析がない) 興味深い。

  1. 円盤領域、楕円領域、円柱領域、球領域での波動方程式・熱方程式のシミュレー ション
    具体的には太鼓のシミュレーションとか、楕円形の酒場の問題とか。
    数学的な興味からも円盤領域、球領域は重要な対象で、 その領域における問題だけはすいすい解けるようにしておきたい、 という強い希望があります。 これは極座標変換で簡単にすむように思えますが、 $ r=0$ のところで特異性がきつくて、 なかなかどうして一筋縄では行かないものです。 円盤領域の問題は多くの挑戦者が出てそれなりに解けていますが、 球領域の場合はまだ一つのレポートしかありません (島倉・田邊 [71])。 そこで Shortley-Weller ではどうなるかです。 円盤や楕円の場合、とりあえず動くプログラムは出来ました。 安定性の条件がどうなるかは詰めていません。
  2. (熱方程式に対する) 陰解法のプログラミング
    実は陰解法の場合、どのように連立1次方程式を組み上げるのか、 桂田研としては良く分かっていません。 山本先生のグループは Poisson 方程式を (当然) 陰解法で解いていますが、 プログラムをどう書くかの詳細は説明されていません。
  3. 山本哲郎先生の研究グループの論文の解読 ([33], [34], [35], [36], [37], [38], [39] )
    理論的に解析するということです。 これらの論文は、 Poisson 方程式をどういう精度で解けるかが主なテーマになっています。 発展問題の安定性解析はないみたい。
  4. 等間隔格子点と境界との距離が短い場合の工夫を模索してみたい。


私の願い
数値計算をやっていて、リアルな問題 (例えば流体のシミュレーションだったら、 津波、台風、竜巻、飛行機、野球のボール、ビル街の風…) を解くのも良いですが、 数学の重要な問題を解く、あるいはその役に立つような計算をすることが 個人的な願望としてあります。 その場合は領域の形状はあまり複雑でなく、 むしろ数学的に整った形ですむことが多いでしょう。 その代わりなるべく高精度に、出来れば数学的な保証付きで計算したい…

桂田 祐史
2017-04-29