差分法は縦横の格子線で出来る格子が基本で、
「曲がっている」領域の問題は、
変数変換でまっすぐにしてから差分法で解く、
というのが一つのスタンダードなのだけど、
これは言うは易く、行うのはかなり面倒な方法です。
そうしないで、境界付近で不等間隔差分を用いることを我慢して頑張る、
という Shortley-Weller 近似に注目しています。
色々な形の領域でのシミュレーションが案外簡単に実行できるのは面白い。
既に金子裕司 [79],
久保田祥史 [71],
濱勇樹 [60] という卒研レポートがあるが、
思いの外簡単に解けてしまっているようで
(そのため実はあまり反省的分析がない)
興味深い。
- 円盤領域、楕円領域、円柱領域、球領域での波動方程式・熱方程式のシミュレー
ション
具体的には太鼓のシミュレーションとか、楕円形の酒場の問題とか。
数学的な興味からも円盤領域、球領域は重要な対象で、
その領域における問題だけはすいすい解けるようにしておきたい、
という強い希望があります。
これは極座標変換で簡単にすむように思えますが、
のところで特異性がきつくて、
なかなかどうして一筋縄では行かないものです。
円盤領域の問題は多くの挑戦者が出てそれなりに解けていますが、
球領域の場合はまだ一つのレポートしかありません
(島倉・田邊 [71])。
そこで Shortley-Weller ではどうなるかです。
円盤や楕円の場合、とりあえず動くプログラムは出来ました。
安定性の条件がどうなるかは詰めていません。
- (熱方程式に対する) 陰解法のプログラミング
実は陰解法の場合、どのように連立1次方程式を組み上げるのか、
桂田研としては良く分かっていません。
山本先生のグループは Poisson 方程式を (当然) 陰解法で解いていますが、
プログラムをどう書くかの詳細は説明されていません。
- 山本哲郎先生の研究グループの論文の解読
([33],
[34],
[35],
[36],
[37],
[38],
[39]
)
理論的に解析するということです。
これらの論文は、
Poisson 方程式をどういう精度で解けるかが主なテーマになっています。
発展問題の安定性解析はないみたい。
- 等間隔格子点と境界との距離が短い場合の工夫を模索してみたい。
私の願い |
数値計算をやっていて、リアルな問題
(例えば流体のシミュレーションだったら、
津波、台風、竜巻、飛行機、野球のボール、ビル街の風…)
を解くのも良いですが、
数学の重要な問題を解く、あるいはその役に立つような計算をすることが
個人的な願望としてあります。
その場合は領域の形状はあまり複雑でなく、
むしろ数学的に整った形ですむことが多いでしょう。
その代わりなるべく高精度に、出来れば数学的な保証付きで計算したい…
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桂田 祐史
2017-04-29