(ここは時間の関係で入れないでしょう。)
簡単のため 次正方行列 が対角化可能で、 その固有値を , , , それらに属する固有ベクトルを , , とします。 さらに は他の固有値の絶対値よりも大きいと仮定します:
任意のベクトル は
と展開できますが、 を作用させると
が大きいとき、 右辺第 項は右辺の他の項と比べて大きくなることが分かります (ただし とする)。 を十分大きくすると、 右辺第2項以下は第1項と比べて無視できるほど小さくなると期待できます。 すると は の定数倍、 すなわち に属する固有ベクトルに近くなるはずです。
以上のことを MATLAB による計算で確かめるためには、 がオーバーフローすることを防ぐため、 代りにその長さで割った を作ればよいでしょう。
以下では素朴に をかけていくことで を求めています。
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線形代数では、固有値を固有多項式の根として特徴づけますが、 固有多項式を数値計算で解くのは多くの場合難しいので、 行列の問題のまま各種の反復法を用いるのが普通です。 上で見た方法は『冪乗法』と呼ばれ、多くの固有値計算方法の基礎となっています。