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連立1次方程式を解くのに、逆行列を一度計算してしまえば、後は楽じゃない?
という考えに「それは勘違いです。LU 分解を使うべきです。」ということを、
以下の数小節を費やして説明する。
対角線より上にあるすべての成分が 0
であるような行列を
下三角行列と呼ぶ。
すなわち
が下三角行列であるとは、
が成り立つことをいう。
同様に対角線より下にあるすべての成分が 0
である行列を
上三角行列と呼ぶ。
正則な下三角行列の全体は乗法に関して群をなす。
上三角行列についても同様である。
行列
に対して、
をみたす
,
が存在するとき、
と
の組を
の LU 分解とよび、
と
の組を求めることを
を LU 分解する、という。
- 与えられた正則行列
が LU 分解を持つためには、
のすべての首座小行列式
が 0
でないことが必要十分である。
- 任意の正則行列
に対して、適当に行の交換を行った行列
は、
LU 分解を持つ
(
はいわゆる置換行列で、左からかけることで行の交換がおこる)。
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桂田 祐史
2012-07-11