一松 [13] から |
「Bairstow 法は、これまで、実係数の代数方程式の複素根を、実数計算だけで 求めるのに便利な方法として、広く使われてきた。実係数なら複素根は必ず共 役複素数の対になって現れ、実2次因子の根になるからである。しかし機械的に これを使って失敗した例が多い。その多くは、Newton 法には大域的収束性が保 証されないのに、適当な初期値からいい加減に始めた場合である。 特に虚数部が小さい根 があると、あたかも に 実根があるかのように見え、他の実根 と合わせた 2 次因子 の近似が計算されかねない。ある段階に進むと、 の付近に実根がないため、分母が 0 近くなって、収束しかかった 反復列が大きく飛ぶという現象を生ずる。これを防ぐための手法もいろいろ 研究されている。筆者のささやかな経験では、根の分布を調べて十分よい 初期値から始めることにし、複素数のよい計算体系が利用できる場合には、 複素数の1変数の Newton 法を使うようにした方が無難と思う。」 |