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数理リテラシーのイントロ
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3 自習の仕方
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講義内容のイントロ
具体的な内容は、論理、集合、写像。
ちなみに理工学部数学科では、 ほぼ同じ内容を「数学演習」という講義で行なっている。
なぜ必要か?
大学で学ぶ数学と、高校までの数学と違いがあるから。 どう違う?やり方がかなり違う。
良く言われる悪口「大学数学のテキストは、定義、定理、証明の羅列 (で分かり辛い)」 -- 一面の真実が潜む。 大学の数学のテキストは、用語・記号の定義、定理とその証明、例、+αが主な要素。
数学的な議論は、定理をつないでいくもので、 定理は原則としてすべて証明される、と覚悟すること。
「証明は覚えないといけませんか?」-- 「証明は覚えたりするものではありません」
(例えば)
実は高校の数学では、極限を定義していない。 だから極限に関する定理の証明も出来ない (していない)。
という公式を知っていても、 仮定を覚えていない人は多い。 「
,
が存在すれば、
も存在して、
が成り立つ。」 とすると定理になる。 「次の極限を求めなさい」という問題を、例題を参考にして解くことで、 漠然と極限概念を掴んで、良く似た問題は解けるようになっているが、 定義はしていなくても気づかない、証明をしていなくても気づかない、 そういう調子で数学を教えられて来た。 言い換えると、高校数学では「寝た子を起こすな」という方針でやっていた。
定義とはなにか, 実は知らない人が多いのかも
[
1
] の中のコラムで、 「◯◯が線形空間であることを示せ」 のような問題が、 学生から敬遠されがちであることが指摘されている。 この問題を解くには、まず線形空間の定義を思い出し、 そこに現れる条件が満たされることを一つ一つチェックすることになる。 そういうことをやり慣れていないのだろう。 高校までの数学で、定義を軽視しているのかもしれない。 [
1
] の第1章は「定義とは何か」である。 そういう基本的なところから話を始めるべきなのかもしれない。
桂田 祐史