6.5.2 反省

Riemann は、汎関数 $ J[u]$ を最小にする $ u\in X$ の存在は明らかだと考えた。

$ J$ は下に有界 ($ J[u]\ge 0$) であるから、$ J$ は下限を持つ。 それは最小値のはず…

それに Weierstrass が疑義を呈した (「下限は本当に最小値?」とツッコミを入れた)。 これに Riemann は存命中に答えられなかった。


現代的な解説をすると、関数空間は無限次元空間なので、 有界閉集合上の連続関数であっても、最小値を持たないことがありえる


ポテンシャル問題は重要なため、解の存在について、 多くの人が努力して Dirichlet原理を用いない証明がいくつか発見されたが、 Riemann の発表から約50年後 (1900年頃)、 D. Hilbert が Dirichlet 原理に基づく証明を発表し、 肯定的に解決した。


今では解の存在証明は、このルートをたどるのがスタンダードになっている。 …でも応用複素関数としては、ここから数値計算法に舵を切る (存在証明については、関数解析か偏微分方程式論で学んでください)。

以上の話は、少し込み入っていて、初めて聴く人には分かりにくいと思われるので、 振り返っておこう。

最小性は

$\displaystyle \dint_\Omega (u_xv_x+u_yv_y)\DxDy=0$   ($ v$ は条件 $ v=0$ on $ \rd\Omega$ を満たす任意の関数)

という条件と同値である。この式は弱形式と呼ばれる。 有限要素法という数値解法では、 微分方程式の近似解を弱形式の解として求める。



桂田 祐史