2.2.1 1次元の場合の弱解の方法

簡単のため、まず1次元版で論じる (多次元でも本質的な違いはない)。

我々の目標は次の問題の解を求めることである。
問題 (P)

(2.1)   $\displaystyle -u''(x)=f(x)$   ($ x\in (0,1)$ )$\displaystyle ,$
(2.2)   $\displaystyle u(0)=\alpha,$
(2.3)   $\displaystyle u'(1)=\beta$

解を求めるために問題の言い換えをする。

この境界値問題 (P) の解は、以下に説明する問題 (W), (V) の解でもある。

まず弱定式化 (weak formulation) した問題 (W) を述べよう。

そのために記号 $ X_{g_1}$ , $ X$ を導入する。

(2.4) $\displaystyle X:=\left\{v\in H^1(0,1)\mid v(0)=0\right\}, \quad X_{g_1}:=\left\{v\in H^1(0,1)\mid v(0)=\alpha\right\}.$

(ただし $ H^1(0,1)$ $ 1$ 階のSobolev空間である。 おそらく多くの人が「初耳」だとも思う。 一応説明しておくと、 超関数の意味で1階微分可能で、 その導関数がLebesgue積分の意味で自乗可積分であるような関数全体の集合である -- ちんぷんかんぷんかもしれないが、とりあえず気にしないで進もう)。 次の2つが大事である。
(a)
$ X$ $ X_{g_1}$ はともに関数の集合である。
(b)
$ X$ $ X_{g_1}$ に属する関数 $ v$ は、 境界条件としてそれぞれ $ v(0)=0$ , $ v(0)=\alpha$ を満たす。

問題 (W)
$ X_{g_1}$ に属する $ u$

(2.5) $\displaystyle \int_0^1 u'(x)v'(x)\Dx=\int_0^1 f(x)v(x)\Dx+\beta v(1)$   ($ v\in X$ )

を満たすものを求めよ。

(2.5) が問題 (W) における「方程式」と呼ぶべきものであるが、 これを弱形式 (weak form) と呼ぶ。 問題 (W) の解 $ u\in X_{g_1}$ を元の問題の弱解 (weak solution) と呼ぶ。



Subsections
桂田 祐史
2018-06-18