next up previous contents
Next: 2.5 付録2: 三角関数についてのメモ Up: 2. 波動方程式に対する差分法の解析 Previous: 2.3.7 差分解の厳密解への収束

2.4 付録 1: 線形差分方程式

(ここに述べることは線形代数学の教科書に書いてあることが多い。探してみる こと。)

$ \N_0\DefEq \N\cup \{0\}=\{0,1,2,\cdots\}$ とおく。

複素数列の全体 $ \C^{\N_{0}}$ は自然な線型空間の構造を持つ。つまり、 数列 $ \{a_n\}_{n=0}^\infty$, $ \{b_n\}_{n=0}^\infty\in \C^{\N_0}$, $ \mu\in\C$ に対して、

$\displaystyle \{a_n\}_{n=0}^\infty
+\{b_n\}_{n=0}^\infty=\{a_n+b_n\}_{n=0}^\infty,\quad
\mu \{a_n\}_{n=0}^\infty
=\{\mu a_n\}_{n=0}^\infty
$

を和、スカラー乗法の定義とすることにより線型空間となる。

$ m+1$ 個の定数 $ \{c_i\}_{i=0}^m$ を定めて、 数列 $ \{a_n\}_{n=0}^\infty$ に対して、

(2.22) $\displaystyle c_0 a_n+c_1 a_{n+1}+\cdots+c_m a_{n+m}=0$   $\displaystyle \mbox{($n=0,1,2,\cdots$)}$

という条件を考える。 (2.24) のことを線形差分方程式と呼ぶ。

線形差分方程式 (2.24) の解全体は、 $ \C^{\N_0}$ の線形部分空間となることはすぐに分かるが、 その次元は $ m$ であり、その基底は以下説明するようにして求めることができ る。

代数方程式

$\displaystyle c_0 +c_1 \mu+c_2\mu^2+\cdots+c_m\mu^m=0
$

の根 $ \mu$ に対して、数列

$\displaystyle \{\mu^n\}_{n=0}^\infty
$

は線形差分方程式 (2.24) の解となること、さらには 相異なる根 $ \mu_1$, $ \cdots$, $ \mu_r$ があるとき、 $ r$ 個の数列

$\displaystyle \{(\mu_i)^n\}_{n=0}^\infty$   $\displaystyle \mbox{($i=1,2,\cdots,r$)}$

は線型独立であることも容易に確かめられる。

$ a_n=\mu^n$ とおいて、 (2.24) に代入すると

$\displaystyle c_0\mu^n+c_1\mu^{n+1}+\cdots+c_m\mu^{n+m}=0$   $\displaystyle \mbox{($n=0,1,2,\cdots$)}$

となるが、これはただ一つの代数方程式

$\displaystyle c_0+c_1\mu+\cdots+c_m\mu^m=0
$

と同値であることは明らかである。

若干面倒なのは重根を持つ場合で あるが、その場合は (以下略)


\begin{jexample}
% latex2html id marker 916
[フィボナッチ数列]\upshape
「漸化式...
...^n
\quad\mbox{($C_1$, $C_2$\ は任意定数)}. \qed
\end{displaymath}\end{jexample}


next up previous contents
Next: 2.5 付録2: 三角関数についてのメモ Up: 2. 波動方程式に対する差分法の解析 Previous: 2.3.7 差分解の厳密解への収束
Masashi Katsurada
平成14年11月29日