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1.3.0.0.1 例

8 ビットの場合、$-1$ を表すには 00000001 の各桁を反転して 11111110


$2$ の補数表示では、ビット列 $b_{m-1} b_{m-2} \cdots b_1 b_0$ の表す 数は

\begin{displaymath}
N = b_0+2b_1+2^2b_2+\cdots+2^kb_k+\cdots+2^{m-2}b_{m-2}-2^{m-1}b_{m-1}
\end{displaymath}

とする。 $-2^{m-1}\le N \le 2^{m-1}-1$ となる。

$2$ の補数表示を用いる理由は、符号無しの場合の演算をする場合と回路が 共通化出来ること、複数のワードを用いて広い範囲の数を表現する多倍 長整数の演算の実現が簡単なことである。

演算をすることによって、結果が $m$ ビットの範囲に収まらなくなった場 合は、とにかく下位 $m$ ビットは残し、溢れ出たものは適当に処理する (こ とが多い)。加算、減算ならば溢れるのは 1 ビットなので、CPU に備わっ ているフラグに記憶する。乗算の場合は、溢れたものを捨ててしまうか、別の レジスターに収めることにする。加減算についてはデータを符号無しと考えて も、符号有りと考えても、結果の下位 $m$ ビットは同じものになることに注意。 10進数で説明すると

\begin{displaymath}
\begin{array}{rlllcrlllll}
& 9& 9& 9&\quad & &9&9&9&\quad &...
...&9&8& &-2\\
1\vert & 9& 9& 7& & 1\vert&9&9&7& &-3
\end{array}\end{displaymath}

$m$ ビット・マシンで 2 の補数表示を使うのは、加減乗算については、 $2^m$ を法とする剰余系を考えて、代表元として $-2^{m-1}, -2^{m-1}+1,
\cdots, -1, 0, 1, 2,\cdots, 2^{m-1}$ を取っているとして理解できる。

これに対して割算については、正数同士の場合はあまり問題がないが、負数 を含む演算の結果についてはあまり合理的な説明は出来ない。割り切れない場 合、剰余の符号をどう取るか、それに関連して商 (整数) をどうするか。 ($-7$ ÷ $2$ は ``$-3$ 余り $-1$'' なのか、 ``$-4$ 余り $1$'' なのか。 割る数×商+剰余が割られた数にならない場合もある(ひどい)。)


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Masashi Katsurada
平成17年6月2日