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A.1.0.0.2 (1) の証明

$I_j$ 内のある部分区間 $J$ において、すべての多項式 $f_k(x)\ne
0$ とすると、$f_k(x)$ の符号は $J$ で一定であるので (中間値の定理から、 符号が変化するには $0$ にならないといけない)、$N(x)$ の値は変化しないこ とが分かる。

そこで、ある多項式 $f_k(x)$ の解 $x_\ast\in I_j$ を通過した場合を考える。 Strum 列の条件から $k\ne \ell$, $I_j$ の取り方から $k\ne 0$ であるから、 $1\le k\le \ell-1$ である。Strum 列の条件 (2) から $f_{k-1}(x_\ast)
f_{k+1}(x_\ast)<0$ であるが、連続性から $x_\ast$ の十分小さな近傍 $V$ を 取れば、そこで $f_{k-1}(x)$$f_{k+1}(x)$ は定符号となり、 $V$ 上で $f_{k-1}(x)f_{k+1}(x)<0$ がなりたつ。 それゆえ、列

\begin{displaymath}
f_{0}(x),f_1(x),\cdots,f_{k-1}(x),f_{k}(x),
f_{k+1}(x),\cdots,f_{\ell}(x)
\end{displaymath}

の部分列

\begin{displaymath}
f_{k-1}(x), f_{k}(x), f_{k+1}(x)
\end{displaymath}

の符号については次の二つのいずれか一方だけしか起こらない。
(a)
$f_{k-1}(x)$ $f_{k}(x)$ $f_{k+1}(x)$
$V$$-$ $V$$+$
    (b)
$f_{k-1}(x)$ $f_{k}(x)$ $f_{k+1}(x)$
$V$$+$ $V$$-$
それゆえ、($f_k(x)$ の符号が何であっても) 任意の $x\in V$ について、部分列 $f_{k-1}(x)$, $f_{k}(x)$, $f_{k+1}(x)$ における符号の変化は $1$ として $N(x)$ の値に算入される。 これから $x_\ast$ の十分小さな近傍で $N(x)$ の値に 変化はないことが分かる。 ゆえに $N(x)$$I_j$ 上で定数である。


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Masashi Katsurada
平成17年6月2日