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3.2 局所離散化誤差、公式の次数

解法 (3) の、 $ t$ における局所離散化誤差 (local truncation error) を

$\displaystyle \tau(t,h):=\frac{1}{h}
\left[
x(t+k h)-L(t,t+h,\cdots,t+k h,x(t),x(t+h),\cdots,x(t+k h))
\right]
$

で定義する。 これを用いて公式の次数 (order, 位数とも呼ぶ) を 次のように定義する。
  公式の次数が少なくとも$\displaystyle m$ $\displaystyle \DefIff$ $\displaystyle \mbox{$C^m$-級の一意解を持つ任意の初期値問題に適用した場合}$
      $\displaystyle \tau(h)\DefEq\max_{t\in[a,b-kh]}\vert\tau(t,h)\vert=O(h^m)$   $\displaystyle \mbox{($h\to 0$)}$

この $ \tau(h)$大域的離散化誤差 (global discretization error, global truncation error) と呼ぶ。


\begin{jexample}[ポピュラーな公式について]
前進 Euler 法, 後退 Euler 法は共に $...
...あり、
古典的 Runge-Kutta 法は $4$ 段 $4$ 次の公式である。 \qed
\end{jexample}


\begin{jremark}
$f$ があまり滑らかでないときなど、解がなめらかでない場合、
次数 $m$ の公式を用いても $\tau(h)=O(h^m)$ は期待できない。 \qed
\end{jremark}

あらく言って $ m$ 次の公式とは、 Taylor 展開して考えたとき、$ m$ 次の項まで一致するものであって、 次のような性質を持つ:

(i)
(どういうわけか運良く) 第 $ j$ ステップまで誤差なく計算出来たとすると

$\displaystyle x(t_{j+1})-x_{j+1}=O(h^{m+1})$   $\displaystyle \mbox{($h\to 0$)}$$\displaystyle .
$

(ii)
実際は誤差が累積するので

$\displaystyle x(t_{N})-x_{N}=O(h^m)$   $\displaystyle \mbox{($h\to 0$)}$$\displaystyle .
$

この左辺を全離散化誤差 (total discretization error) と呼ぶ。


\begin{jexample}
Euler 法は $1$ 次、古典的 Runge-Kutta 法は $4$ 次の公式であ..
...爨゛、ヌ。「
Runge-Kutta ヒ。、マ $4$ シ。、ホケ爨゛、ヌ、「、テ、ニ、、、襪噺世┐襦\qed
\end{jexample}

収束のための条件
以下の三条件が成り立つならば、 $ h\to 0$ とするとき、近似解が真の解に収束することが証明できる。
(i)
公式の次数が少なくとも $ 1$ 以上 (適合条件 (consistency) を満たす)。
(ii)
$ \Phi$ $ x_j,x_{j+1},\cdots,x_{j+k}$ について Lipschitz 条件を満たす。
(iii)
初期値 $ x_1,x_2,\cdots,x_{k-1}$ が適切に用意される。


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Masashi Katsurada
平成23年4月29日