私自身は偏微分方程式の数値計算法の数理にもっとも興味があり、 「それが専門です」ということにしているけれど1、 常微分方程式2を学ぶことは重要であり、 学部ゼミの卒業研究でも現象のモデルとして良く現れる 3。
現象数理学科の3年生は、 常微分方程式について必要なことの多く (解ける方程式の解き方、 数値シミュレーションの方法など) は、色々な授業で習ってきたと思うが、 諸君の先輩達を見る限り、実際に使いこなすにはトレーニングが必要のようだ。 そういうトレーニングに便利なように、この文書を用意した。 時間の限られている現象数理研究Iで利用することを考えている。
多くのテキストでは、何か理論や方法を説明して、 それの適用例として具体的な微分方程式を持ち出して来るが、 ここではまず具体的な微分方程式を取り上げ、 それについてどういう理論・方法が使えるか、 という順に話を進める。
勉強する場合は、 以前勉強したときのノートや教科書等の資料を手元において、 調べながら読み進めると良い。
色々な用語や定理、コンピューターの利用法が現れる。 そのうちのいくつかは知っているか、目にした覚えがあることを期待しているが、 知らないものがあっても、心配する必要はない。 とりあえず頭に入れておいて、将来本格的に使うことになった場合は、 勉強しなおそうくらいのノリで構わない。