2.4 Euler 法

微分係数の定義より、$ h$ が十分小さければ

    $\displaystyle \frac{\D x}{\D t}(t_j)$ $\displaystyle =\lim_{\eps\to0}\frac{x(t_j+e)-x(t_j)}{\eps}$
      $\displaystyle \kinji \frac{x(t_j+h)-x(t_j)}{h}$

と近似できる。

そこで

$\displaystyle \frac{\D x}{\D t}(t_j)=f(t_j, x(t_j))
$

から $ \{x_j\}_{j=0}^N$ に関する方程式

(4) $\displaystyle \boxed{\frac{x_{j+1}-x_j}{h}=f(t_j,x_j)}$

を得る (正確には、 この方程式の解として $ \{x_j\}$ を定義するわけである)。

(4) を整理して、

(5) $\displaystyle x_{j+1}=x_j+h f(t_j,x_j)$

なる「隣接二項」の漸化式を得る。$ x_0$ は分かっているわけだから、 これから $ x_1$, $ x_2$, $ \cdots$, $ x_N$ を順番に計算できる。

以上が前進Euler 法である 3。 前進 Euler 法は素朴であるが、次の意味で「うまく働く」。

$ f$ が連続かつ $ x$ について Lipschitz 条件を満たす程度の滑らかさがあれば、
$ (t_j,x_j)$ を結んで出来る折れ線をグラフとする関数は、
$ N\to\infty$ とするとき、真の解に収束する。

しかし、 実は Euler 法はあまり効率的ではないため、実際に使われることはまれである。

(一方で、後退 Euler 法は、無条件に安定となるため、しばしば利用される。)



桂田 祐史