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つまり、任意の正の数 に対して、 に十分近いところから出発した任意の解は、 から距離 の範囲に止まる、ということである。
(私が学生で、このあたりのことを勉強したとき、「リャプノフの意味で」 というのを見て、「そうでない意味で安定というのは、例えばどういうの?」 と気になった。 でもそういうのを目にすることはなく、 最近は「リャプノフの意味で」というのは省略されるのが多くなった。 時間が経って、言葉が定着したということなのだろう。)
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判定法として、次の定理が使われることが非常に多い。
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「ヤコビ行列って何ですか?」 (学生が持っている教科書の索引にヤコビ行列がない…ぶつぶつ ) , , は微分可能とするとき、 の におけるヤコビ行列とは、 型の 行列
力学系 においては であることに注意しよう (微分方程式の左辺は 次元, 右辺は 次元なので)。 ゆえに は 次正方行列で、(重複度を込めて) 個の固有値を持つ。 行列 の成分は実数であるが、固有値には虚数が現れることもある。
この定理が、 の場合にも使えることを注意しておく。 のとき、 の におけるヤコビ行列は、 の における微分係数 そのものである。 またその固有値は、 (これは実数) である (一般に実数 を、 型の実行列とみなすとき、 が に対して成り立つので、 は の固有値で、 が固有ベクトルである。)。
ゆえに、定理を の場合に限定すると、 「 ならば は漸近安定、ならば は不安定」 ということになる。