実対称行列の正値性、負値性の判定に、
Gauss の消去法が利用できることに唐突な印象を持ったかも知れないが、
実は2次式に対しての基本操作である「平方完成」は Gauss の消去法と関係がある。
このことを見てみよう。
が実対称行列であるとする。
であれば
であるから、
これは Gauss の消去法の前進消去過程と同じである。
与えられた2次形式が、
平方完成を繰り返すことで標準形に変換出来る場合には
(齋藤 [5], pp. 157-158 に載っている Lagrange の方法 の特別な場合)、
Gauss の消去法で計算可能である。
実際、実対称行列
が
と分解できたとき、
とおくと、
となる (LDU分解)。
, すなわち
とおくと、
桂田 祐史