6.2 Fourier 積分定理

数直線上定義された関数 $ f$ , $ x\in \R$ が、次のいずれかの条件を満足す るとする:

このとき、Fourier の単積分定理 (single integral theorem of Fourier)

(6.5) $\displaystyle \frac{f(x+0)+f(x-0)}{2} =\lim_{A\to\infty}\frac{1}{\pi}\int_\R f(t)\frac{\sin A(t-x)}{t-x}\Dt$

が成り立つ。

また $ x$ $ f$ が有界変動である時、 Fourier の 2 重積分定理 (double integral theorem of Fourier)

(6.6) $\displaystyle \frac{f(x+0)+f(x-0)}{2} =\frac{1}{\pi}\lim_{T\to\infty}\int_0^T\Dt\int_\R f(u)\cos t(u-x)\Du$

は、次の (i), (ii), (iii) のいずれかがあれば成立する。
(i)
$ f\in L^1(\R)$ .
(ii)
$ f(x)/x$ $ \vert x\vert>X(>0)$ $ L^1$ に属し、 $ x\to\pm\infty$ のとき $ f(x)$ は単調に 0 に収束する。
(iii)
$ f(x)=g(x)\sin(p x+q)$ という形をとり、$ g$ が単調に 0 に収束する。

$\displaystyle \lim_{\lambda\to\infty}\frac{1}{\pi}\int_0^\lambda\int_\R \sin t(u-x)f(u)\Du
$

を (6.6) の右辺の積分の共役 Fourier 積分 と呼ぶ。これは形式的に

(6.7) $\displaystyle \lim_{\lambda\to\infty}\frac{1}{\pi}\int_0^\infty \frac{1-\cos\lambda t}{t}(f(x+t)-f(x-t))\Dt$

となり、これに関連して

(6.8) $\displaystyle g(x)=\frac{1}{\pi}\lim_{A\to\infty, \eps\to 0}\int_\eps^A \frac{f(x+t)-f(x-t)}{t}\Dt$

が考えられる。これは $ f\in L^1(0,\infty)$ ならば、 ほとんどすべての $ x$ に対して存在し、 $ g$ $ f$ 共役関数 (conjugate function) あるいは Hilbert 変換 (Hilbert transform) と呼ばれる。 $ f\in L^p$ ($ p>1$ ) ならば、 $ g\in L^p$ で、

(6.9) $\displaystyle \Vert g\Vert _{L^p}\le C_p \Vert f\Vert _{L^p}.$

桂田 祐史
2017-04-30