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2.3 巾乗法(power method)

ここでも問題は対称であると仮定する。

与えられた行列の絶対値最大の固有値を求めるための、累乗法あるいは巾乗 法2を説明する。

行列 $ A$ の固有値 $ \{\lambda_i; i=1,2,\cdots,n\}$ は絶対値の順に番号 づけられているとする:

$\displaystyle \vert\lambda_1\vert\ge\vert\lambda_2\vert\ge\cdots\vert\lambda_n\vert.
$

また、 $ \{u_i; i=1,2,\cdots,n\}$ $ \{\lambda_i\}$ に対応する $ A$ の固 有ベクトルからなる正規直交基底とする。

ここで話を簡単にするために次の仮定をおく。

仮定:      $ \vert\lambda_1\vert>\vert\lambda_2\vert$ .
この時、適当な $ x_0$ ( $ x_0\not\in \textrm{Span}\{u_2,u_3,\cdots,u_n\}$ ) を選んで

$\displaystyle \left\{
\begin{array}{lcl}
y_{k+1} &:=& A x_k \\
x_{k+1} &:=& y_{k+1}/\Vert y_{k+1}\Vert
\end{array}\right.
$

によりベクトル列 $ \{x_k;k=0,1,\cdots\}$ を定めると、

$\displaystyle \lim_{k\to\infty}x_k=\pm u_1
$

となる。実際には十分大きな番号 $ k$ を取れば、 $ x_k=\pm u_1$ とみなして よい。



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桂田 祐史
2015-12-22