A..1.2 今学ぶ意義

(急いでいるときは、ここをすっ飛ばしてもよいでしょう。)


Bessel 関数は特殊関数と呼ばれる一群の関数のうちの一種で、 例えば円盤領域や円柱領域における微分方程式の問題で活躍する (だから「円柱関数」と呼ばれることもある)。 歴史的には最初これらの領域における波動方程式や熱方程式の問題を解くために 出現したが、 名前のもとになったベッセル (Friedrich Wilhelm Bessel, 1784-1846, Minden に生まれ、 Königsberg にて没する, 天文学に顕著な業績がある) は、 Kepler の方程式を解くために Bessel 関数の基礎固めをすることになった。


\begin{yodan}
久賀 \cite{久賀講座1} には、
二体問題の解も周期...
...ボウマン}) か、数理物理の本に載っています。
\qed
\end{yodan}

円盤にしろ、円柱領域にしろ、 特殊な領域にすぎないことは否めない。 特殊関数という「方法論」は、 どれだけ幅広い現象を扱えるか (計算により予知できるか) という 汎用性の面からはコンピューター・シミュレーションに及ばない。

しかし特殊関数には、 コンピューター・シミュレーションにはない利点もある。 この方法で得られる解は解析的5な関数なので、 問題がパラメーターを含む場合はパラメーター依存性も目に見えるし、 微分などの操作もでき (例えば電位を求めた場合は容易に電場が求まる)、 数値計算では分かりにくい種々の情報が一時に得られる。 特に解が固有値、 固有関数の情報 (固有値の分布や、固有関数の節がどうなっているか等) も 含んでいるのはとてもありがたい場合が多い。 たとえ特殊な場合 (領域) に限られると言っても、 得られる知見の大きさは無視できない。

とかく縁遠くなりがちな特殊関数の世界への入門として、 Bessel 関数を学ぶ意義は大きい、 と筆者が考えるようになった次第である。

桂田 祐史
2017-11-20