5 対数概念の歴史

(2006年春休み工事する予定…あれれ)

2005年度では卒研で数学史をやっているつもりではなかったが、 採用したテキスト (ハイラー・ヴァンナー [36]) の関係で興味を持ち、 その手の話、具体的には Napier による対数の発見、 で卒業研究レポートを書きたいという学生が現れた。 相手をした関係で色々なものを読む羽目になったので、ここにメモを書いておく。

1次資料に「近い」資料がネットで見られるのは幸運であると思う。 Edward Wright による英語訳は (数表の部分を除き -- これが私には非常に悔しいところなのだが) 画像が公開されている。 また Henry Briggs の [45] についても、 オリジナルの Latin 語テキストと英語訳とが含まれている 研究論文が PDF ファイルで公開されている (Bruce [46])。

Napier の話を数学史の定番本で色々調べていて、 私の気のせいかもしれないが、 真剣に書いてある本は少ないように思えた。 伝言ゲームを見ているようで、 一体何が事実なのか良く分からないことがしばしばあった。

ベル [56] では取り上げられることすらされていない。 ボイヤー [52] も今一つという感じ。 割と良いと感じたのはカジョリ [55] である。 計算尺の歴史について独立した論文を書いたような人だから、 この話にもかなり本気であるような感じがした。 それでも電卓を叩けば気がつくような誤りが載っていたりする (実はこの本は 19 世紀に書かれたものだから、 カジョリの机に電卓があったはずはないのだが)。

志賀 [56] はかなり詳しく説明してある。 真剣に取り組むのならば入手することをお奨めする (残念ながら絶版みたい…)。


(2019/3/1 加筆) 対数については、その後も、 院生に Napier の Descriptio の翻訳をさせてみたりして、 色々なことを知ることになった。 一度、まとまった話をしてみたいと考えているけれど、 なかなか機会はめぐってこないかな… 二点ほど

桂田 祐史
2019-03-01